根治術が不可能な大腸癌に伴う直腸の狭窄に対し、人工肛門の造設が行われることが多い。しかし、末期癌患者にさらに手術を行うことは、患者のQOLを損ねる可能性が高い。そこで、より負担の少ないステント留置を行ったところ、数日で食事制限が不要になるなどの有効性が明らかになった。市立豊中病院外科の畑泰司氏が、第94回日本消化器病学会総会で発表した。

 対象は、2005年8月から2007年8月までに直腸の狭窄があり、予後半年以内と診断された8人。内訳は、根治術の不可能な直腸癌2人、根治術の不可能なS状結腸癌2人などだった。ステント留置後、2日か3日後に食事を開始し、1週間後には内視鏡検査で狭窄部の確認を行った。

 2008年4月30日までのステント留置期間は10日から317日(平均173日)で、合併症はステントの脱落2人のみで、重篤なものはなかった。2人とも、壁外病変による腸管狭窄で、1人は症状の軽減に伴うステント脱落だった。腸閉塞に伴う食事制限は数日で不要になり、1週間ほどで普通食が摂取できるようになった。転院した1人を除き、退院が可能だった。

 畑氏は、「ステント留置は狭窄を解除する有効な手段と考えられたが、食道癌と異なり、保険適応になっていない。また、穿孔の危険性もあるなど、慎重に適応を見極める必要がある」とした。