大腸癌に対する標準的な化学療法であるFOLFOX療法では、使用薬剤の1つのオキサリプラチンによる末梢神経症状が治療中止の大きな原因となっている。以前から、カルシウム、マグネシウム(Ca、Mg)製剤の投与が末梢神経症状を予防できるとの報告はあったが、オキサリプラチンの投与前後、計2回の投与が必要で、手順が煩雑になるなど課題が残されていた。第94回日本消化器病学会総会で近畿大学腫瘍内科の佐藤太郎氏は、オキサリプラチンの投与前1回の投与でも末梢神経症状の抑制効果が示されたと発表した。

 具体的な投与方法は、オキサリプラチンの投与30分前にグルコン酸カルシウム1gと硫酸マグネシウム1gを5%ブドウ糖液100mLに混和し、30分かけて点滴するというもの。この方法を行った患者は50人(男性27人、女性23人、平均年齢62歳)。投与数の平均は10サイクルで、オキサリプラチンを6サイクル以上投与できたのは78%だった。末梢神経症状により治療中止となったのは20%、投与間隔を延期したのは34%、減量を行ったのは28%だった。

 オキサリプラチンによる末梢神経症状は、累積投与量が500mg/m2を超えると70〜80%の患者に出現すると言われている。6サイクル以上投与し、累積投与量が500mg/m2を超えた39人を対象に末梢神経症状の出現を尋ねたところ、49%にとどまっていた。その一方で抗腫瘍効果については、奏効率49%、治療成功期間162日、無増悪生存期間232日と、大きな効果の減弱はみられなかった。佐藤氏は、「厳密に投与群と非投与群に分けて効果を比較した研究ではないため、この方法をすぐに日常臨床に生かせるとは言いにくいが、さらに研究を重ねていきたい」と話した。