75歳以上の後期高齢者であっても、D2郭清を含む大腸癌腹腔鏡手術は50歳代と大差ない手術成績が得られ、術中・術後の合併症についても大きな差はないことが明らかになった。昭和大学附属豊洲病院外科の保母貴宏氏が、第94回日本消化器病学会総会で発表した。

 対象は、1993年4月から2007年3月までにD2郭清を標準術式として大腸切除術を腹腔鏡下に行った216人。50歳以上65歳未満の71人を壮年者群、65歳以上75歳未満の68人を前期高齢者群、75歳以上の24人を後期高齢者群として、年齢別に手術成績を比較検討した。

 大腸癌の占拠部位は、壮年者や前期高齢者ではS状結腸や横行・左側結腸に多く、後期高齢者ではS状結腸や盲腸・右側結腸に多いという違いがあったが、明らかな差はなかった。手術成績に関しては、皮膚を切開した長さ、手術時間、術中出血量、リンパ節の郭清個数、在院日数ともに、3群に差は見られなかった。術後に病理学的に確認した深達度についても、やや傾向は異なるものの大きな差はなかった。

 術中・術後の合併症を調べたところ、3群ともイレウスが最も多いという結果だった。後期高齢者群のみで見られた合併症としては、急性循環不全による死亡が1人だった。このため保母氏は、「術後の心肺機能管理に気を配る必要はあるが、最近は、より切除範囲の広いD3郭清を後期高齢者に実施するケースも増えてきている」と話した。