胃MALTリンパ腫H.pylori除菌療法は長期予後が良いことが報告された。5月8日から10日に福岡市で開催されている日本消化器病学会で、九州大学病態機能内科学の中村昌太郎氏によって発表されたもの。中村氏は「除菌療法で必ずしも消えなくても増悪がなければとりあえず様子をみてもいい」と語った。ただしMALT1過剰コピーなどの遺伝子異常を有する患者では、再燃や増悪に注意する必要があるとした。

 中村氏が発表したのは1994年から2007年に除菌療法を行った胃MALTリンパ腫患者104人のデータをレトロスペクティブに解析したもの。H.pylori陽性者が99人を占めていた。この患者にラベプラゾール40mgとアモキシシリン2000mgを4回にわけて14日間投与した。その結果除菌効果はGELA(Group d'Etude des Lymphomes del'Adulte)組織基準でCR(完全寛解)が65人(63%)、pMRD(微小遺残)が4人(4%)、PR(部分寛解)が5人(5%)、NC(不変)が23人(22%)、PD(増悪)が7人(7%)となった。CR/pMRDまでの時間は1カ月から20カ月(中央値3)で、除菌の副作用は出血性大腸炎が1人に見られただけだった。

 除菌でCR/pMRDとなった69人とPRの3人、NCの1人の計73人は経過観察を行い、PRの2人、NCの23人、PDの7人は2次治療として経口単剤化学療法、放射線療法、多剤併用化学療法、胃切除(1997年まで)を行った結果、4人以外はCRが得られた。

 除菌療法を受けた全104例の除菌後生存率は全生存率が5年後で91%、10年後で82%、イベントフリー生存率は5年後で75%、10年後で68%と高い値だった。ただし、MALT1過剰コピーのない群30人とMALT1過剰コピーのある15人では明らかにイベントフリー生存曲線に差が認められた。