完全切除後の肺癌患者に「MAGE-A3 抗原特異的癌免疫治療(ASCI)」を投与したフェーズ2試験の新たなデータが、4月25日に第1回欧州肺癌会議で発表された。この会議は欧州臨床腫瘍学会(ESMO)と国際肺癌学会(IASLC)が合同で開催したもの。今回報告されたのは、44カ月間の追跡結果だ。

 ベルギーGasthuisberg大学病院のJohan Vansteenkiste氏は、これまで複数の学会で報告してきた二重盲検比較対照フェーズ2試験について、より長期にわたる追跡を行い、「MAGE-A3 ASCI」が肺癌患者に対する維持療法として有望であることを示した。

 対象となったのは、非小細胞肺癌でMAGE-A3抗原の発現が確認されている182人の患者。腫瘍を完全切除後、患者を無作為に「MAGE-A3 ASCI」または偽薬に割り付け、27カ月超にわたって治療を継続した(3週おきに5回注射し、その後は3カ月おきに8回注射した)。

 腫瘍特異的抗原であるMAGE-A3は、非小細胞肺癌患者の35〜50%に発現が認められる。しかし正常細胞はこれを発現していない。「MAGE-A3 ASCI」は、免疫系を刺激してMAGE-A3抗原の認識を促し、この抗原を発現している細胞を排除する作用を持つ。

 44カ月後、182人中69人が再発、うち57人が死亡していた。「MAGE-A3 ASCI」群では、偽薬群に比べ無再発生存期間と生存期間が長かった。また、「MAGE-A3 ASCI」群に見られた有害事象は、注射から24時間以内の注射部位の軽度の反応と発熱程度で、化学療法を行った場合と比べると非常に軽かった。

 従ってこのワクチンは、長期の維持療法として適しており、高齢者や術後で体力が落ちている人を含む多くの患者に対して、癌治療を受けながら普通の生活を送ることを可能にすると考えられた。

 早期肺癌の標準治療は外科的切除となっているが、切除後約50%が再発し不幸な転帰をとる。術後に化学療法を行うと治癒率は高まる。しかし、全ての患者に適用できるわけではなく、有害事象も深刻になりうる。

 今回得られた結果は、「MAGE-A3 ASCI」の術後の再発リスク減少作用は化学療法と同程度で、副作用は化学療法に比べ低いことを示した。

 MAGE-A3抗原は、国際的な非営利機関であるLudwig癌研究から英GlaxoSmithKline社にライセンスされており、同社が治療適応を目的とする開発を進めている。既に、肺癌患者を対象とする大規模フェーズ3試験MAGRITが進行している。