米国癌協会(ACS)は4月22日に、年次報告書(Cancer Prevention & Early Detection Facts & Figures 2008;CPED)を発表した。同協会は1992年から毎年、癌のリスクに影響を及ぼす要因について総合的に分析したリポートを公表している。2008年版では、癌による死亡率を減らすための米国の努力は長期にわたって成果を上げてきたが、ここにきて喫煙率の低下が進まなくなり、マンモグラフィー受診率は横ばいまたはわずかに減少、大腸癌のスクリーニングを受ける頻度は上昇するも好ましいレベルには達していない、といった問題点を指摘している。

 米国では1990年代に癌の死亡率が低下し始めた。それ以来今日までに、死亡率は、男性では18.4%、女性は10.5%下がった。これは50万人を超える人々が癌死を免れたことを意味する。引き続き癌死を減らしていくためには、喫煙者、肥満者を減らし、スクリーニング受診率の上昇を実現する包括的かつ系統的な努力が必要だ。

 今回は、医療を受ける機会の重要性にも触れている。医療保険に加入している人に比べ保険が無い人々は、癌検診を受ける頻度が低く、癌が進行してから発見されることが多く、早期発見された場合に比べ治療費は高額になり、生存率は低下するという。

 以下は今年焦点が当てられた話題だ。

●喫煙
・成人の20.8%、高校生の23%が現在喫煙している。高校生の喫煙率は1997〜2003年の減少後、2003〜2005年には横ばいになった。
・1997〜2004年には男女共に喫煙率が減少したが、過去2年間は減少が止まり、2006年のままとなっている(男性23.9%、女性18.0%)。
・タバコ1箱当たりの物品税は1ドル未満の州が25州ある。税金の安い州は主に米国南東部と中央部に集中している。
・43州とコロンビア特別区が2000年以降にたばこ税を引き上げたが、たばこ税の一部を州民の健康と対癌政策、喫煙対策に投入すると規定した法律を持っているのは23州のみ。
・2008年には米国内の州が喫煙対策に割り当てた金額は総額7億1720万ドル。しかし、禁煙対策に公的資金から1ドルが投入される間に、タバコ業界は24ドルを宣伝に費やしている。

●早期発見
・40歳以上で過去1年間にマンモグラフィーを受けた女性は51.2%に留まった。ACSは40歳以上の女性は毎年検査を受けることを推奨している。
・マンモグラフィー受診率は過去10年間増加してきたが、ここに来て横ばいまたはわずかに減少している。2005年の調査で、過去2年間に検査を受けたと答えた女性は66.5%だったが、2000年に比べると4%低下していた。
・マンモ受診率が最低だったのは医療保険のない女性だった。2番目が移民で、米国に住んで10年未満の女性だった。
・大腸癌のスクリーニングを受ける人は増えているが、他の癌検診の受診率と比べるといまだに低い。米国内の50歳以上の成人で大腸癌検診を受けた人の割合は2000年が42.5%、2005年は46.8%だった。
・大腸癌検診の受診率が最も低かったのは、ヒスパニック、米国に居住を始めてから10年未満の移民、無保険者だった。

●肥満と過体重
・米国の成人の約3/2は過体重または肥満だ。肥満者の増加は2003〜2004と2005〜2006年には止まったように見えた。2005〜2006年の肥満者は男性の34%、女性の36.4%だった。
・過去20年間に、米国の12〜19歳の青少年に占める過体重者の割合は5%から17.1%に増加。増加は人種、民族、性別にかかわらず見られた。
・2006年の米国各州の肥満者の割合は、最低がコロラド州の18.3%、最高がミシシッピ州の31.5%だった。

●栄養と運動
・2005年に、米国の若者の35.8%が、60分以上の運動を週5日以上行っていた。体育の授業が毎日ある生徒が33%いた。
・2005年に米国の高校生の37.2%が1日に3時間以上TVを見ると答えた。
・2005年には高校生の5人に1人(20.1%)が野菜/果物を1日に5回以上食べていた。
・2005年に成人で同様の頻度で野菜/果物を食べていたのは24.3%。州ごとに比べると、その頻度はオクラホマ州が最低(15.7%)で、コロンビア特別区が最高(32.2%)だった。
・2006年には余暇に運動をしていないと答えた成人が全体の23.9%を占めた。州別では、最低がミネソタ州の14.2%、最高がミシシッピ州の31.2%。

●紫外線対策
・68.7%の若者が夏の間に日焼けをしたと答えた。日焼けは紫外線に対する感受性が最も高いタイプの皮膚を持つ若者(84.5%)と少女(71.5%)に多かった。
・2004年の調査で、11〜18歳の青少年の約1/3が、夏の間は常に、または、しばしば日焼け止めを使用していた。しかし、常に、または、しばしば日陰を探すと答えた青少年は20%にとどまった。長袖の服や長ズボンの着用など、衣服による紫外線カットを常に行っていた人は10%にすぎなかった。
・2005年の成人を対象とする調査では、28.3%が常に、または、しばしば日焼け止めを用いると答えた。夏に屋外に1時間以上とどまる場合には日陰を探すと答えた人は43.4%だった。

 ACSによると、報告書の公開時点で、29州とコロンビア特別区、プエルトリコが、段階的な喫煙禁止(職場、レストラン、バーなどでの喫煙を禁止)を立法化または実施していた。2791の自治体も何らかの禁煙法案を承認。大腸癌の検診についても、メディケアと民間医療保険の適用拡大により、受診率が増加しているという。こうした多面的な努力が、米国民の全てに利益をもたらし、癌死を引き続き減らすために必要だ。