複数のリン酸化酵素を阻害するスニチニブ(商品名「スーテント」)が、肝細胞癌の増殖を鈍化させ、転移のリスクを低減できる可能性が明らかとなった。これはフェーズ2臨床試験の結果で、4月12日から16日にサンディエゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で米Massachusetts General Hospital Cancer CenterのAndrew X. Zhu氏によって発表された。

 スニチニブはVEGFR2、c-Kit、FLT3を含む複数のチロシンリン酸化酵素を阻害する分子標的薬。同様に複数のリン酸化酵素を阻害するソラフェニブが肝細胞癌に対する効果が確認され、欧州では認可されていることから、スニチニブも新たな治療の選択肢になる可能性が出てきたと言えるだろう。

 研究グループは34人の進行肝細胞患者を対象に、37.5mgのスニチニブを毎日4週間投与し2週間休薬するスケジュールで投与した。その結果、12週までに1人の患者で部分奏効(PR)が確認され、17人の患者で安定状態(SD)が認められた。無増悪生存期間中央値は3.9カ月(95%信頼区間2.6-6.9)で、3カ月無増悪生存率は56%、6カ月無増悪生存率は32%だった。全生存期間中央値は9.8カ月だった。Zhu氏は「結果は予備的なものだが、抗腫瘍活性があることは明らかだ」と語った。

 また、腫瘍における血管からの血漿の異常増加漏出が、スニチニブによって阻害される経路に関連していることから、研究グループは磁気共鳴映像法(MRI)を用いて腫瘍血管の透過性を測定した。その結果、スニチニブの投与により、試験の開始時に測定した値よりも透過性は40%減少していたという。さらに、循環前駆細胞は癌の広がりの予測に使われるが、スニチニブの投薬によって、循環前駆細胞も減少したという。

 一方、副作用は管理可能な範囲内だった。グレード3/4の副作用は血清GOTの上昇が18%、血清GPTの上昇が9%に認められた。倦怠感が12%、手足症候群が6%に見られた。グレード3/4の血液学的な副作用は好中球減少症が12%、リンパ球減少が15%、血小板減少が12%、高ビリルビン血症が6%だった。