癌が産生する抗原に対する抗体に酵素を結合させ、その酵素で抗癌剤のプロドラッグを活性化する治療法(ADEPT)についてのフェーズ1臨床試験が報告され、有効性を示唆する結果が得られた。副作用は耐えられる範囲であり、一部で抗腫瘍効果が確認された。成果は4月12日から16日にサンディエゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、University College London's Cancer InstituteのRichard H.Begent氏らによって発表された。

 ADEPTは、癌が産生する癌胎児性抗原(CEA)に対する抗体断片とカルボキシペプチダーゼG2の融合たんぱく質であるMFECP1を静脈内投与することによって行われる。カルボキシペプチダーゼ活性が血中から消失したあとに、抗癌剤のbis-iodo phenol mustardプロドラッグが投与される。癌に結合したMFECP1のところでカルボキシペプチダーゼG2によってプロドラッグが活性化され、癌を殺傷するという考えだ。

 フェーズ1臨床試験は43人の既治療の癌患者を対象に行われた。進行大腸癌、胃・食道癌、乳癌、胆嚢癌、腹膜癌、虫垂癌、膵癌、原発不明癌患者が含まれていた。患者は、最も多い人でADEPTを2日間から10日間にかけて3回実施された。1回目のプロドラッグの投与量は至適用量を探るため37mg/m2から3226mg/m2の範囲内だった。

 血小板減少症と好中球減少症が主な副作用で、プロドラッグの最大耐用量は1200mg/m2だった。ヒト抗酵素抗体が1回の治療で40%の患者に、2回の治療で75%の患者に、3回の治療で100%の患者に認められた。

 抗腫瘍効果は18F FDG-PETを用いて測定された。全体のプロドラッグの投与量が900mg/m2以上だった9人の患者のうち4人に部分奏効(PR)が得られた。全体のプロドラッグの投与量と腫瘍がFDGを取り込む量の減少量には相関関係があった。また、抗腫瘍効果は、腫瘍マーカーのCA19-9の値の変化でも確認された。治療前にはCA19-9値が上昇していて、PRが得られた3人の患者ではCA19-9値の25%以上の減少が見られた。

 Begent氏は「44%の患者で有意な臨床的な反応が見られた。これらの結果は無作為化フェーズ2臨床試験の実施を支持するものだ」と語った。