米Antigenics社は4月8日、ロシア公衆衛生省が再発リスクが中程度の非転移性腎臓癌患者に術後補助療法として「Oncophage」(vitespen、以前はHSPPC-96と呼ばれていた)の適用を承認したと発表した。個々の患者に特異的なワクチンが世界の主要国で承認を得たのはこれが始めて。同社は年内に、欧州でも条件付きの承認を申請する計画だ。

 このワクチンは、患者から切除された腫瘍から癌特異的抗原ペプチドと熱ショックたんぱく質の複合体を分離し精製したものからなる。熱ショックたんぱく質は抗原提示細胞に癌抗原を発現させることを手助けする(シャペロン)と考えられている。

 ワクチンは米国マサチューセッツ州にある同社施設で作製されるため、同社は米国の法律に従って「Oncophage」の輸出許可を米食品医薬品局に申請した。判断は60日以内に下る見込みだ。ロシアでの発売は2008年後半になるだろう。

 現在、非転移性の腎細胞癌に対する標準治療は外科的切除で、その後は経過観察となる。多くの患者が術後に再発予防または再発を遅らせる治療を望むが、これまでは適応できる治療がなかった。

 ロシア公衆衛生省は、腎臓癌患者に術後補助療法として「Oncophage」を適用した過去最大の臨床試験の結果に基づいてこのワクチンを承認した。無作為化フェーズ3試験は、世界の118施設で604人の患者を対象に行われた。うち28%に相当する172人は、ロシア国内の8施設で試験に参加した。

 再発リスクが中程度(ステージ1/2高異型度、またはステージ3 T1/2/3a低異型度)で、手術により腫瘍を完全に摘出できた362人に、「Oncophage」を投与したところ、臨床的に意義のある無再発生存期間の改善(ハザード比0.55、P<0.01)が見られた。無再発生存期間の中央値はまだ得られていないが、中間解析結果は、無再発生存期間が約1.7年延長したことを示した。得られた結果については論文発表の準備が進んでいる。

 これまでの臨床試験では、他の癌治療のような深刻な有害事象は見られていない。腎癌の他に転移性メラノーマ、再発性グリオーマを対象とする臨床開発も進行中だ。