フェーズ1b臨床試験の結果、転移性大腸癌にFOLFOXレジメンと抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体製剤セツキシマブと経口チロシンキナーゼ阻害剤ダサチニブの併用が有効な可能性が明らかとなった。

 ダサチニブには大腸癌細胞の増殖、血管新生、浸潤、アポトーシスの調節に働いているSrcキナーゼを阻害する作用がある。Srcキナーゼは転移性大腸癌で活性化が頻繁に起きており、化学療法抵抗性にも関係するという。前臨床試験では、Srcキナーゼ阻害剤がセツキシマブ、オキサリプラチンと協調的に働くことを示唆するデータがある。今回のフェーズ1b試験では、併用は安全で既治療の患者にも有効性を示す初期データが得られた。成果は4月12日から16日にサンディエゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、米テキサス大学M・D・アンダーソン癌センターのScott Kopetz氏によって発表された。

 フェーズ1b試験は既治療の転移性大腸癌患者を対象に実施された。被験者にはmFOLFOX6レジメン(毎週オキサリプラチン85mg/m2、ロイコボリン400mg/m2、5-FU400mg/m2投与した後に、5-FUの2400mg/m2を46時間注入する)とセツキシマブ投与(1回目の投与は400mg/m2でその後毎週250mg/m2)に加えて、ダサチニブを投与した。ダサチニブの投与量は100mg群、150mg群、200mg群の3群に分けて行われた。用量制限毒性(DLT)の発現は1サイクル目の投与で判定し、抗腫瘍効果の評価は4週間おきに固形癌の効果判定基準(RECIST)で評価した。

 現在までに100mg群に6人、150mg群に6人の登録が行われ、200mg群は3人が登録された。100mg群と150mg群にそれぞれ1人ずつ用量制限毒性(DLT)が見出された(グレード4とグレード3の倦怠感)。その他の毒性にはグレード4と3の好中球減少症、グレード3の低リン血症、貧血などが見られた。最大耐量(MTD)には到達していない。

 9人(100mg群4人、200mg群5人)の評価可能な患者のうち、3人では部分奏効(PR)が得られたが、PR群には既にFOLFOXレジメンもEGFR抗体による治療も受けたことのある患者2人が含まれていた。

 この結果をふまえてKopetz氏は、「多数の前治療を受けている患者を対象にした試験でこれだけ効果が示されたのは極めて有望だ」と語った。