リステリア菌にヒトパピローマウイルス(HPV)の抗原遺伝子を含むプラスミドを導入したワクチンが、進行・再発子宮頸癌の治療薬になる可能性が示された。化学療法、放射線療法、手術でうまく治療できなかった患者15人を対象にしたフェーズ1/2試験で抗腫瘍効果が確認された。成果は4月12日から16日にサンディエゴで開催されている米国癌研究会議(AACR)で、ワクチンの開発を進める米Advaxis社のJohn Rothman氏によって発表された。

 このワクチンは「Lovaxin C」の名前で開発が行われている製剤。Listeria monocytogenesの10403S株に、HPV-16のE7たんぱく質とリステリア菌のたんぱく質であるリステリオライシンの非溶血性断片を融合たんぱく質としてプラスミドで導入する。リステリア菌は先天性免疫を強く誘導し、CD4陽性リンパ球もCD8陽性リンパ球のどちらも強く活性化し、様々なサイトカイン、ケモカインを誘導し、抗腫瘍環境を構築するという。リステリオライシンもIL-1α、IL12を含むサイトカインを産生するなど抗腫瘍効果に貢献することが期待できる。

 臨床試験では各5人の患者がLovaxin Cを3週間空けて1×10の9乗cfu、3.3×10の9乗cfu、1×10の10乗cfu投与された。患者は菌の投与5日後に抗生物質のアンピシリンを静脈内投与され、その後10日間経口投与された。患者の多くは転移があり、4b期の患者だった。2回目のワクチン接種後、3週間目と3カ月目に評価を行った。

 固形癌の効果判定基準(RECIST)で抗腫瘍効果の評価を行ったところ、有効性の評価が可能だった13人のうち、試験の終了時点で1人の患者が部分奏効(PR)、7人の患者が安定状態(SD)、5人の患者が病状が進行した。7人のSD患者のうち3人の患者では腫瘍の約20%の縮小が見られた。PRが得られた患者は菌投与の際には4b期の患者だったが、その後6コースの化学療法と広範子宮全摘術を受け、腫瘍がない状態にすることができた。13人中6人が生存しており、全患者の生存期間中央値は354日だった。

 一方、安全性の評価は15人全員で行われた。Lovaxin Cは、発熱、悪寒、吐き気などのインフルエンザ様症状を全患者に引き起こした。投与量の少なかった2群では一般用のNSAIDsなどで適切に治療された。1×10の10乗cfu投与群でも同様の症状が見られたが、拡張期血圧の低下を伴う40度から41度の発熱があり用量制限毒性とみなされた。

 Rothmann氏によると病期がより早期である2期の患者を対象にしたフェーズ2臨床試験を今夏に開始する計画だという。また頭頸部癌患者を対象にLovaxin Cと放射線療法を併用するフェーズ2臨床試験も進めているという。