富士フイルムグループのフジノンが2005年に開発したFICE(FUJI Intelligent Color Enhancement)システムを大腸内視鏡検査の際に用いると、通常の観察よりも病変の悪性度が正確に判断できることが分かった。これは、American Journal of Gastroenterologyの3月号に発表された研究。病変の悪性度を正確に判断できれば、切除する必要のない良性のポリープを切除せずに済み、患者の負担を軽減し、医療費の節約にもつながるとされている。

 大腸ポリープの精査にFICEシステムを用いたところ、腺腫を「ある」と正しく検出できる感度は、低倍率での観察で89.9%、高倍率での観察で96.6%だった。さらに、腺腫を「ない」と正しく検出できる特異度は、低倍率での観察で83.3%、高倍率での観察で90.0%だった。これは、インジゴカルミンなどの色素を病変部に散布する色素観察を行ったときと同等であり、通常の内視鏡観察よりも明らかに優れていた。

 FICEシステムでは、通常の内視鏡検査で得られた画像をコンピューター処理し、任意の波長で得られるであろう画像を再構成することで画像診断を支援する。これは、光が波長によって生体内への深達度が異なることを利用しており、粘膜表層の毛細血管の走行パターンのみを描出することなどにより、癌化によって異常な形状となった毛細血管を早期発見できると期待されている。

 既に、FICEシステムを使うことによって、大腸癌検診での腺腫の検出頻度が上がるかどうか、多施設での臨床試験が始まっているという。研究の行方が注目される。