スウェーデンUppsala大学などが行った研究で、更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)は、健康な女性の乳癌リスクを上昇させるだけでなく、乳癌を経験した女性の再発リスクも高めることが明らかになった。詳細は、米国立癌研究所(NCI)ジャーナル電子版に2008年3月25日に報告された。

 これまでに行われた研究で、HRTが健康な女性の乳癌発症リスクを高めることが示されていた。しかし、乳癌経験者に対するHRTの影響は明確ではなかった。一部の観察研究と小規模な無作為化試験1件の結果は、HRTは再発に影響しないか、または再発リスクを減じることを示唆していた。

 Uppsala大学(現在は英London大学King’s College所属)のLars Holmberg氏らは、無作為化試験HABIT(Hormonal Replacement After Breast Cancer;Is It Safe?)の被験者となった乳癌患者を延長追跡し、HRTが再発リスクの有意な上昇をもたらすことを示した。

 乳癌治療歴のあるスカンジナビアの女性を対象とする追跡期間の中央値は4年。HRT(エストロゲンとプロゲステロン)を受けたグループでは、221人のうち39人(17.6%)が再発、または、新たに乳癌を発症していた。一方、HRT以外の薬剤を用いた対症療法が行われたグループでは、再発は221人中17人(7.7%)に留まった(ハザード比2.4、95%信頼区間1.3-4.2)。

 5年累積再発率を推算したところ、HRT群は22.2%、対照群は9.5%で、絶対リスク上昇は14.2%だった。

 過去に行われた研究の結果と一致していない理由については、試験設計の差について比較検討するなどの方法で明らかにする必要はあるが、著者らは、臨床的に意義のあるリスク上昇が見られた、と結論している。