前立腺内に限局するB期前立腺癌(T1c〜T2c)に対する強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy:IMRT)で、良好な治療成績が得られることが分かった。これは、京都大学大学院医学研究科放射線腫瘍学・画像応用治療学講師の溝脇尚志氏が、同大学病院でのデータを日本高精度放射線外部照射研究会で3月8日に発表したもの。

 溝脇氏は、京都大学において、2002年10月〜2006年3月にIMRTで根治的な治療を受けた、B期前立腺癌患者43人を対象に経過観察を行った。対象者となった患者の治療開始前のPSA中央値は13.6ng/ml(4.4〜77ng/ml)。内訳としては、T2bでPSA10〜20ng/mlまたはGleasonスコア7の中リスク患者が17人、T2c以上でPSAが20ng/ml以上、またはGleasonスコアが8以上の高リスクは26人であった。

 患者全員が放射線照射前にホルモン療法を受けていた。ホルモン療法の期間は、3〜13カ月で、中央値は6カ月。放射線の投与線量は、33〜35回に分割して66〜70Gyを受けた患者が4人、37分割で74Gyを受けた患者が21人、39分割で78Gyを受けた患者が18人であった。治療終了後は全ての患者でホルモン療法を中止して、PSA値の経過観察を行った。

 観察期間は約3年間で(16〜61カ月、中央値32カ月)、他の病気で死亡した患者1人以外は、全て生存していた(3年全生存率97%、原病生存率100%)。また、追加の治療を必要とする患者もほとんどいなかったという。

 治療終了後に生じる副作用である晩期障害の発生率も低く、グレード3以上のものは無く、グレード2の尿路関連副作用の発生は5%、直腸出血が2%であった。

 IMRTを用いた前立腺癌の治療は、今年1月に保険収載が認められ、今後、全国的に普及することが期待されている。ただし、溝脇氏は、「IMRTによる治療成績は、手術と同じで放射線治療チーム(医師、放射線技師、医学物理士)の力量に依存するところが大きい」と語る。すなわち、同じ治療法を行っている医療機関であっても必ずしも同様の治療成績が得られるとは限らない点は注意する必要がありそうだ。