乳癌の広がりを調べ、癌の取り残しの危険性を下げるために有益な磁気共鳴画像法(MRI)。ただし、乳房専用の装置(乳房専用コイル)を用いずに、MRI撮影を行っている医療機関が、MRI実施施設の約2割に上ることが明らかになった。これは、全国のがん拠点病院と乳癌手術件数の多い病院548施設を対象に行った調査の結果で、2月17日の日本乳癌画像研究会で聖路加国際病院ブレストセンター長の中村清吾氏が発表した。

 中村氏は、「専用コイルを用いずにMRI撮影を行った場合、MRIの精度が下がる危険性がある」と語り、せっかくMRI撮影を実施しても正しく癌の広がりを検出できない危険性を指摘した。

 今回のアンケート調査は、2007年12月19日〜2008年1月15日に行われた。調査企画はMRマンモグラフィ研究会が担当し、日本放射線科専門医会が調査主体となって実施したもの。全国548施設に調査票を送付し、回収率は58%だった。回答のあった医療施設のうち約8割の214施設が「乳腺専用コイルを用いてMRI撮影を実施している」と回答した。しかし、残りの58施設は「乳房専用コイルを利用していない」と答えていた。「正直なところ、専用コイルを用いずにどうやって撮影しているのか分からない」と中村氏。

 今回の調査では、加えて、最新の乳腺専用コイルを利用していた施設は1割のみで、多くの施設が旧式のコイルを利用していることも明らかになった。

 厚生労働省は、2008年度予算で、がん拠点病院を対象に、乳房専用コイルを導入するための費用を半額補助する方針だ。中村氏の試算によると、全国110施設に補助金支給が可能な予算が確保されているという。そのため、中村氏は、まだ、乳腺専用コイルを導入していない施設では、この予算補助を活用して、乳房専用コイルの導入を進めて欲しいと語った。また、乳癌の治療は、がん拠点病院以外でも多く行われているため、癌拠点病院以外の施設に対しても同様の補助金支給が必要である可能性も指摘した。