造血幹細胞移植を必要とする小児癌患者や、2歳以下の小児癌患者では、細気管支や肺などの下気道に感染を生じるRSウイルスによる死亡リスクが高いことが明らかになった。これは、米St. Jude Children Research Hospitalの研究グループによるもので、成果はPediatrics誌の2月号に掲載された。

 今回の研究は、治療の影響により免疫力が下がっている小児癌における、RSウイルス(RSV)の感染状況を調べる目的で行われた。対象者は、1997年〜2005年に、同病院で治療を受けた小児癌患者58人。23人(40%)が急性リンパ芽球性白血病ALL)、11人(19%)が固形癌であった。また、24人(41%)が造血幹細胞移植を受け、17人(29%)が2歳以下の患者であった。

 その結果、16人(28%)が下気道の感染を生じ、そのうちの31%にあたる5人がRSV感染を原因として死亡していた。この5人は、造血幹細胞移植の対象者、もしくは、2歳以下の乳幼児であったという。また、リンパ球減少は、独立したリスク因子となっていたが、好中球減少は相関しなかったという。

 今回の結果から、造血幹細胞移植を必要とする場合や、2歳以下の小児癌患者では、一般的な感染症予防に加えて、RSV感染の予防と重篤化を防ぐ手立てが必要といえそうだ。

 既に、国内では、先天性心疾患や早産児などを対象に、RSVの感染による下気道感染を予防する抗体医薬シナジズ(一般名パリビズマブ)が販売されており、RSV感染による入院期間や死亡率の低減に貢献している。今後は、小児癌患者においても、同薬の投与の有効性を検討する必要があるといえそうだ。