LH-RH性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニストと抗アンドロゲン剤であるフルタミドの併用が未治療の進行前立腺癌の治療に有効であることがわが国で行われた初のフェーズIII臨床試験で確認された。両剤の併用は前立腺癌の治療法として既に用いられているが、日本人で実際にフェーズIII臨床試験で効果が検証されたのは初めてになる。成果は米国臨床腫瘍学会などが2月14日から16日にサンフランシスコで開催したGenitourinary Cancers Symposiumで長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授の金武洋氏によって発表された。

 フェーズIII試験は国内60施設で、無作為化多施設オープンラベル試験で実施された。LH-RHアゴニストはリュープロレリンゴセレリンが使用された。1日あたり250mgのフルタミドとLH-RHアゴニストを投与される群(54人)、1日あたり375mgのフルタミドとLH-RHアゴニストを投与される群(53人)、LH-RHアゴニストのみを投与される群(53人)の3群に分けて試験が行われた。

 試験の結果、フルタミドの量による効果の差はなかった。フルタミドとLH-RHアゴニストを併用した群とLH-RHアゴニスト単独投与群を比較したところ、疾患特異的生存期間中央値と治療成功期間(TTP)中央値について、併用投与群の方が有意に長かった。疾患特異的生存期間中央値は、併用群が1848日だったのに対して、単独投与群は1795日だった。TTP中央値は、併用投与群が478日に対して、単独投与群が255日だった。これらの差は、原発巣に対する奏効率の差(併用投与群が30.8%、単独投与群が3.8%)に起因しているという。また12週時点でのQOL(生活の質)改善効果も併用投与群が優れていた。

 一方、全体の生存期間中央値は併用群が263週に対して、単独投与群は219週だったが統計学的に有意な差にはならなかった。これは試験のサイズがそれほど大きくなかったことと比較的高齢者が多かった(年齢中央値が併用群が71.4歳、単独群が71.3歳)にことによるものと推測されていた。

 併用投与による主な副作用は、ALTとASTレベルの上昇で、白色人種に多い下痢は日本人では比較的、発現が少なかった。下痢が少ない理由は明らかでないという。