手術のできない進行食道癌に対し、化学放射線療法が一般的に施行されている。根治的な化学放射線療法後、追加でどのような化学療法をどの程度の期間行うべきかどうか、まだ十分なコンセンサスは得られていない。滋賀医科大学消化器内科の畑和憲氏はこうした患者にテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤S-1)を内服してもらったところ、良好な結果が得られたと、第4回日本消化管学会で発表した。

 対象は、食道の壁外または周囲のリンパ節にまで癌が広がっているIII期以上の進行食道癌患者5例(男性4例、女性1例、平均年齢60歳)。5-FUシスプラチン(CDDP)および約40Gの放射線照射を併用する治療を行った後、S-1を80〜100mg内服してもらった。投与サイクルは患者ごとに異なり、4週投与2週休薬、3週投与2週休薬などで行われた。

 その結果、CR(完全奏効)が2例、さらに1例で残存腫瘍の縮小傾向が得られた。畑氏は、「CRとなった1例は、根治的な化学放射線療法後はPR(部分奏効)と判断されていた。S-1は、抗腫瘍効果が期待できることに加え、服薬コンプライアンスも良好で、有害事象のみられないまま、比較的長期間にわたり使用できている」と期待を込めた。

 症例の中には、約1年半にわたり投与を継続している患者もおり、畑氏は、「続けられるだけ続けてみてはどうでしょうか、と患者に話して了解を得た上で投与を継続している。どの程度の期間継続すべきか、さらに本当にS-1によって長期生存が得られるかどうかが今後の課題」とまとめた。

 ポスターセッションの司会を務めた京都大学消化器内科の武藤学氏は、「非常によい成績と言えるのではないか。実際、S-1の食道癌に対する有効性を多施設で検証しようという動きが出ている。ぜひ今後も症例を増やして検討を続けてほしい」と話した。