BRCA1またはBRCA2の変異を持つ女性においては、卵巣摘出は癌リスクを減らす方法の一つとして広く受け入れられている。米Memorial Sloan-Ketteringがんセンターの研究者たちは、どちらの遺伝子に変異を持つかによって、この外科的予防法の利益は異なることを初めて明らかにした。詳細はClinical Oncology誌電子版に2008年2月11日に報告された。本誌掲載は2008年3月号になる予定。

 乳癌遺伝子に変異を持つ女性に対するRisk-Reducing Salpingo-Oophorectomy(RRSO:リスク低減のための卵管卵巣摘出術)の効果を調べたこれまでの研究は、これらの変異を持つ女性を区別せずに、またはBRCA1変異保有者のみを対象に行われていた。

 BRCA2変異保有者に対するRRSOの影響と、BRCA1変異保有者に対する影響を別々に調べた研究は今回が初めてで、得られた結果は、どちらの変異を持つかによって癌予防効果が異なることを示唆した。

 対象となったのは、これら乳癌遺伝子のいずれかに変異がある30歳以上の女性。RRSOまたは観察のいずれかを本人が選択した。質問票を用いた調査と医療記録を基に、前向きに3年間追跡。

 RRSOを受けた509人の女性と、これを受けずに観察を選んだ女性283人を比較したところ、RRSOはBRCA2グループの乳癌リスクを72%低減(ハザード比0.28、95%信頼区間0.08-0.92)していた。BRCA1グループでは統計学的に有意な結果にはならなかったが、リスクの減少がうかがわれた(ハザード比0.61、0.30-1.22)。

 一方、婦人科癌のリスクはBRCA1グループで85%減少(ハザード比0.15、0.04-0.56)。BRCA2グループでもリスク低減が示唆されたが、グループ内の婦人科癌罹患率が低すぎて低減幅を推定できなかった。

 さらに分析を進めたところ、RRSOは、BRCA1またはBRCA2の変異を持つ女性のエストロゲン受容体(ER)陽性乳癌を78%減らすことが明らかになった。しかし、ER陰性乳癌の罹患率には影響が見られなかった。

 BRCA1変異は特にER陰性乳癌リスクを増すことが知られている。従って、BRCA1変異保有者は、RRSOに加えて、乳癌リスク低減策(MRIによるスクリーニングの頻度を上げる、予防的乳房切除など)を用いる必要があるのではないか、と著者らは述べている。