内視鏡検査の際に見つけた5mm以下の小さな大腸ポリープを精査することなく放置することは、癌の見逃しにつながる――。第4回日本消化管学会で、中目黒消化器クリニックの田淵正文氏は、こう強調した。

 田淵氏は、同氏が手掛けた大腸内視鏡検査全3万5852回、9468人(男性6203人、女性3265人、平均年齢57.5歳)を対象とした。検査時に発見した5mm以下のポリープを20分以上にわたり拡大観察し、腫瘍と思われた5mm以下の病変をすべて切除して組織学的検討を加えた。対象者が大腸内視鏡検査を受けた動機は、サーベイランス目的が最も多く約75%、次いで大腸癌の二次検診目的が約11%だった。

 切除した5mm以下の病変は全部で3万2541個だった。組織学的検討の結果、腺腫が最も多く、全体の99%を占めたが、粘膜癌が57個、粘膜下層まで浸潤した癌が3個(うち1000μm以上の浸潤癌が1個)、粘膜下腫瘍(カルチノイド)が48個あった。

 田淵氏は、「単純計算すると、5mm以下の大腸ポリープをすべて放置した場合、年間約20個の癌の見逃しとなる可能性が示唆された。もちろん、すべての大腸ポリープを切除せよと言っているわけではないが、単に医療費を抑制するという観点から小さな大腸ポリープを一律に軽視していては、病変の観察が散漫になり、取り返しのつかない癌の見落としにつながりかねない」と、警鐘を鳴らした。