胆膵疾患の診断・治療に欠かせない内視鏡的逆行性胆管膵管造影ERCP)は、実施に長時間かかり、患者への負担が大きい。さらに、高齢だったり基礎疾患があるといった高リスクの患者では、検査の際に抗コリン薬などの消化管ぜん動を抑える薬剤の投与が困難という問題もある。

 社会保険船橋中央病院内科の酒井裕司氏は、ERCP施行時に芍薬甘草湯のエキス製剤を投与したところ、消化管ぜん動の抑制効果が得られたと、第4回日本消化管学会で発表した。芍薬甘草湯は、5gを36℃の生理食塩水50mLに溶解し、内視鏡を十二指腸に挿入したところでチューブから散布した。

 対象は、2007年7月から2008年1月までにERCPを施行した50例(男性29例、女性21例、平均年齢62.6歳)。チューブから芍薬甘草湯を散布した後、ぜん動運動が抑制されるまで時間を計測し、抑制された後で検査を進めた。5分以内にぜん動抑制が見られなかった場合、効果なしと判断した。その場合には、既往歴に問題がなければ、抗コリン薬をゆっくり静注した。

 その結果、50例中38例(76%)で消化管ぜん動運動の抑制効果を認めた。ぜん動が抑制されるまでの時間は、50〜182秒と差があり、平均すると約2分だった。ぜん動が抑制されている時間は7〜20分で、平均すると約10分だった。全例でERCPが施行できた。酒井氏は、「特に検査に伴う合併症や有害事象はみられず、安全性が高いと考えられた」とまとめた。