ペプシノゲン法の結果とヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)抗体価は、胃癌の予後からレトロスペクティブに検討したところ、逆相関することがわかった。東海大学消化器外科の鍋島一仁氏が、第4回日本消化管学会総会学術集会のポスターセッションで発表した。

 鍋島氏らは既に、ピロリ菌高値群の方が低値群よりも胃癌の10年生存率が良好との検討結果を発表している。そこで今回は、萎縮性胃炎の指標であり、採血によって計測できる簡便な胃癌のスクリーニング検査、ペプシノゲン法の結果が、胃癌の予後とどのように相関するかを調べたという。

 対象は、1988〜2002年に東海大学医学部付属病院で扱った胃癌手術症例707例(男性513例、女性194例、平均年齢60.4歳)。術前のペプシノゲン計測結果を基に症例を「強陽性」「陽性」「疑陽性・陰性」の3群に分け、生存率を比較した。その結果、ペプシノゲン法強陽性群と、陽性群、疑陽性・陰性群との間には有意差があり、強陽性群で明らかに予後不良だった。

 ペプシノゲン法は、胃で分泌されている「ペプシノゲン」という酵素の量を測ることにより、胃粘膜の状態を調べる検査だ。胃粘膜の萎縮が進むとペプシノゲンの産生が減り、これを検査では「陽性」と判断する。胃粘膜の萎縮が強いほど胃癌が発生しやすいとされていることから、陽性という結果は、胃癌になる危険性が高いことを示す。

 鍋島氏は、「同様に胃癌の危険因子であることが明らかになっているピロリ菌については、高値群の方が予後がよかった。今回の結果は、それとは逆の関係を示すもので、興味深い。炎症反応と免疫反応との関連について、さらに研究を続けたい」と意欲をみせた。