イリノテカンの活性代謝物であるSN-38を高分子ミセル化した製剤であるNK012の、進行癌を対象にした国内フェーズI臨床試験の中間解析で、有望な結果が得られていることが明らかとなった。成果は、1月25日から27日に米国オーランドで開催された2008 GASTROINTESTINAL CANCER SYMPOSIUM(ASCO GI)で、国立がんセンター中央病院消化器内科の加藤健氏によって発表された。

 NK012はイリノテカンに比べて下痢の頻度が少なく、高い抗腫瘍活性を示すことが前臨床試験で明らかとなっている。フェーズI試験は、NK012の最大耐量の決定、フェーズII試験の推奨用量の決定と用量制限毒性、薬物動態を調べるために実施された。

 NK012は、3週間おきに30分かけて静脈内投与された。開始用量はSN-38に換算して2mg/m2とした。現在までに21人の患者が投薬を受けている。2mg/m2が1人、4mg/m2が1人、8mg/m2が1人、12mg/m2が3人、16mg/m2が3人、20mg/m2が3人、24mg/m2が3人、28mg/m2が6人だ。21人の癌種の内訳は大腸癌が5人、直腸癌が7人、肺癌が4人、膵癌が4人、食道癌が1人。28mg/m2で臨床試験が進行中で、最大耐量は28mg/m2以上になる見込みだ。28mg/m2投与群で、現在までに6例中2例で用量制限毒性が見られたため、3人の患者を追加して試験を行う計画だ。

 好中球減少症が主な血液学的毒性で、グレード3または4の好中球減少が、16mg/m2群、20mg/m2群、24mg/m2群、28mg/m2群で認められた。下痢を含むグレード3/4の非血液学的毒性は24mg/m2群では認めらず、28mg/m2群でグレード3の副作用が3件報告された(悪心、食欲不振、発熱性好中球減少症)。NK012は、SN-38の全身暴露量を増大させた。3週間おきに30分間でNK012を投与する方法は、実行可能であり、患者は投与によく耐えることができた。

 抗腫瘍効果は、食道癌患者1人で部分奏効(PR)、8人の患者で安定状態(SD)を得ることができた。加藤氏によるとイリノテカンを投与したことのない患者で効果が高くなる可能性があるという。PR例もイリノテカンを受けたことのない患者だった。また、米国でも臨床開発が進められているが、イリノテカンを受けたことのない患者で効果が良い傾向があるという。