大腸癌患者では、高率に他の臓器に原発癌が見つかることが知られている。このうち、特に胃癌に注目した調査の結果が、福岡市で開催された第68回大腸癌研究会で、東京医科歯科大学腫瘍外科の石黒めぐみ氏より報告された。

 石黒氏らは、大腸癌術後フォローアップ研究会の14施設を対象に、1991年から1996年までの大腸癌手術症例5358例を集積、同時性重複癌の発生頻度を検討した。その結果、同時性重複癌は193病変、すなわち全例の3.5%に見つかった。

 発生部位は胃が最も多く、45.1%を占め、全例の1.6%となった。胃癌の発見につながったのは、術前精査が半数近くの44.8%だった。上部消化管内視鏡検査を術前の精査項目に組み入れている10施設での同時性胃癌有病率が1.86%であったのに対し、精査項目に組み入れていない4施設での同時性胃癌有病率は1.06%と、有意差があった(p=0.03)。

 石黒氏は、「1.6%という胃癌有病率は、検診における胃癌発見率約0.1%より高く、検診による要精査群の胃癌診断率1.1%とほぼ同等と言える。術前に胃癌のスクリーニング検査を行うことは妥当と判断できる」と話した。しかし、今回集積された5358例全例に上部消化管内視鏡検査を行い、胃癌を1例発見するためにかかる費用は約70万円と推計されることから、医療経済的には、まだ課題も残されていると結論づけた。