小児癌経験者は晩期障害による就業の不利に対して、何らかの資格を獲得することで対応している傾向が明らかになった。仙台市で12月14日〜16日に開催された、日本小児がん看護研究会で東京大学医学系研究科客員研究員の福井郁子氏が発表した。

 小児癌経験者は、成長障害や肝障害、呼吸器障害などの後遺症を持つことが多く、また、後遺症のために疲れやすいなど就業のうえで不利な場合が多いといわれている。そのような身体的な問題点にいかに対処し、最善の就業形態を保つことができるかを明らかにするのが今回の研究だ。

 研究では、患者会や家族会、支援団体から紹介を受けた小児癌経験者20人を対象に聞き取り調査として行われた。この20人は、15歳以下で発症し、告知済み、現在、20歳以上で勤務中だ。

 その結果、20人中11人が何らかの資格を所得し、仕事に生かしていた。職種としては、医療、福祉、保育職を選ぶ小児癌経験者が多く、看護士、臨床検査技師、栄養士、福祉系教員などの資格を有していた。

 職場への病気説明を行っていたのは、20人中9人であり、説明した結果、職場の理解が得られ、業務上のサポートが得られやすく、晩期障害や健康管理のための受診を継続しやすい傾向があった。福井氏の分析の結果、「仕事への支障がある」「晩期障害が外見で分かる」「障害者雇用が利用できる」場合に、職場に説明する傾向が見られた。

 一方、仕事に支障がない場合と晩期障害が外見で分からない場合、採用に不利、特別扱いされたくない思いから、病気説明を行わない傾向があったという。ただし、病気説明を行っていない場合には、無理して仕事をこなす場合が多く、疲労を蓄積することで新たな晩期障害が発症したり、病状が悪化し、仕事を辞めざるを得ないケースもみられたという。

 小児癌経験者は、業務をこなすために努力しながら、体調に配慮しつつ、無理せず仕事を行うことで、仕事を長続きしていたという。今後は、自己の体調管理のみでなく、医療者と一緒にリスク管理を行ない、社内の産業保健スタッフを利用しながら、自分の健康状態と仕事とのバランスを取ることが重要だと言える。