米Amgen社の2007年12月14日の発表によると、アロマターゼ阻害剤(AI)を用いた術後補助療法を受けている非転移性乳癌患者を対象に行ったフェーズIII試験で、denosumabが全身の骨密度を高める効果を持つことが明らかになった。詳細は、第30回サンアントニオ乳がんシンポジウムで報告された。

 閉経女性は骨量が低下しやすい。AI治療は骨の吸収と形成のバランスを悪化させ、骨量低下を加速する。RANKL(NFκB活性化受容体リガンド)は、破骨細胞の形成、機能、生存などに重要な役割を果たしており、RANKLによる破骨細胞の活性化が骨密度低下をもたらすと考えられている。完全ヒトモノクローナル抗体denosumabは、RANKLに結合して破骨細胞による骨破壊を抑制する。骨吸収の抑制と骨破壊の阻止に有用と期待されている。

 フェーズIII試験であるHALT乳癌135試験では、AI治療に起因する骨密度減少へのdenosumabの効果が評価された。

 初回投与から1カ月という早い段階以降、評価された全ての時点で、腰椎の骨密度は、偽薬群(125人)に比べdenosumab群(127人)で有意に高かった。主要エンドポイントに設定された12カ月時の腰椎の骨密度の差は5.5%だった。2次エンドポイントとなった大腿骨近位部の骨密度は、偽薬群に比べ3.7%、大腿骨頸部では2.5%高かった。差は全て有意だった。

 予備的なエンドポイントとして、橈骨遠位端と全身への影響も評価された。橈骨遠位端の偽薬群との差は、12カ月時3.8%、24カ月時は6.1%。全身の骨密度は12カ月時には偽薬群より3%、24カ月時には4.2%高かった。

 骨密度の増加は、スポンジ状の海綿骨のみならず、それを取り巻く硬く密度の高い皮質骨部分にも見られた。一般に忍容性は高く、有害事象の発生率は対照群と同等だった。

 RANKLはがんの骨転移にも関与すると報告されており、denosumabについては、がん治療に起因する骨量低下のほか、多くの癌の骨転移抑制と骨破壊の阻止における効果も評価されている。日本でも、乳癌の骨転移がある患者にこれを投与する臨床試験が行われている。