80歳以上の高齢者における肺癌、食道癌、膵臓癌に対する外科的手術では、これまでの報告よりも、その予後はよくないことが、米国の大規模な患者データベースを使った後ろ向きコホート研究で明らかになった。この結果はJournal of the American College of Surgeons12月号に掲載された。

 Michigan大学のEmily Finlayson氏ら研究グループは、全米1000以上の医療施設が登録しているNationwide Inpatient Sampleデータベースから、1994年から2003年に肺癌、食道癌、膵臓癌の外科的切除が行われた患者27万2662人を抽出し、80歳以上の患者と、60歳代(65-69歳)の患者における術後の死亡率や退院率を比較した。

 その結果、80歳以上の患者は、60歳代の患者に比べ、術後の死亡率が高く、肺癌では80歳以上が6.9%であるのに対し、60歳代では3.7% (p < 0.0001)、食道癌ではそれぞれ19.9%、8.8%(p < 0.0001)、膵臓癌では15.5%、6.7%(p < 0.0001)だった。また80歳以上の患者は、術後、介護施設(extended care facilities)に移る例が多く、肺癌では24%、食道癌では44%に上っていた。

 さらに研究グループは、Surveillance and End Results-Medicareのデータベース(1992-2001年)を使って、1万4088人を対象に術後の生存率を調べたところ、80歳以上の患者のほうが5年生存率は低く、肺癌では31%、食道癌では18%、膵臓癌では11%だった。

 これらの結果から、研究グループは、「手術によるリスクと長期的なベネフィットは、年齢層によって違う。この違いは治療を決定する上で重要になるだろう」としている。