閉経後ホルモン受容体陽性初期乳癌患者の術後補助療法として、アロマターゼ阻害剤のアナストロゾールがタモキシフェンよりも再発を、投与終了後も長期間にわたって抑制できることが明らかとなった。アナストロゾールとタモキシフェンを5年間投与して再発抑制効果を比較する、観察期間中央値が8年以上という長期間観察データであるATAC(ARIMIDEX, Tamoxifen,Alone or in Combination)試験の結果、再発と遠隔再発を抑えることが明らかとなった。

 ATAC試験は世界でもっとも長期間行われ、最も大規模な乳癌の臨床試験の1つになるという。成果は12月13日から16日に開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウムでオーストラリアNewcastle大学のForbes JF氏によって発表された。

 試験の結果、ホルモン受容体陽性群では、9年時点での再発率はタモキシフェン群で21.8%だったのがアナストロゾール群では17.0%で両者の差は4.8%に拡大(5年時点では2.8%の差だった)、再発のハザード比は0.76(95%信頼区間0.67,0.87;p=0.0001)となり、投与終了後もアナストロゾールの再発抑制効果があることが明らかとなった。

 遠隔再発も9年時点での発生率はタモキシフェン群で15.6%だったのが、アナストロゾール投与群で13.2%と両者の差は2.4%に拡大(5年時点では1.3%の差だった)、遠隔再発のハザード比は0.84(95%信頼区間0.72,0.97;p=0.022)となった。反対側の乳房での乳癌の発生率(CLBC)は、9年時点での発生率はタモキシフェン群で4.2%だったのが、アナストロゾール投与群で2.5%と両者の差は1.7%に拡大(5年時点では0.8%の差だった)、ハザード比は0.60(95%信頼区間0.42,0.85;p=0.004)となった。

 再発乳癌死はアナストロゾール群で350人、タモキシフェン群で382人、再発なしの死亡は、アナストロゾール群で279人、タモキシフェン群で242人だった。全体の生存率は差がなかった。

 5年間の治療期間中は、アナストロゾール群の方が、タモキシフェン群に比べて、関節症状と骨折の頻度が高かったが、治療終了後の骨折率はアナストロゾール群とタモキシフェン群は同様で、新たな安全性に関する問題は見出されなかった。心筋梗塞の発生率も同等で、子宮内膜癌はタモキシフェン投与終了後の群と比べてアナストロゾール投与群は低い傾向があった。

 Forbes氏は「今回の試験の重要な点は特に2つある。1つは長期間の有効性、投与が終わってからもタモキシフェンを上回る再発抑制効果が見られたという点だ。もう1つは長期間投与の安全性が確かめられたこと。予想外の副作用は見られず、投与終了後は骨の問題がなくなったことだ」と語った。