ホルモン受容体陽性、HER2陰性乳癌患者にアロマターゼ阻害剤のレトロゾールとEGFRやHER2などを阻害するラパチニブの併用が有効である可能性が示された。レトロゾールとラパチニブを投与する群とレトロゾールとプラセボを投与する群に分けた試験の途中の段階で、2群合わせた6カ月時点での奏効率は80%で、ホルモン療法単独投与で期待される40%を上回っていることが明らかになったためだ。成果は12月13日から16日に開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウムでModena University Hospital のAntonio Frassoldati氏によって発表された。

 実施されている臨床試験は、ホルモン受容体陽性、HER2陰性の手術可能な患者を対象にレトロゾールとラパチニブを術前に投与するLET-LOB試験。両製剤による初の併用試験となる。

 同試験では、術前のレトロゾール+ラパチニブ投与による抗腫瘍効果と心臓への影響などの安全性の確認が行われた。ER陽性/HER2陰性腫瘍におけるホルモン療法とラパチニブによる併用療法は、ホルモン経路を遮断した後にEGFRとHER2経路の活性を抑え、治療結果を高める。これらの2つの経路を遮断する組み合わせの効果を評価するため、二重盲検無作為化による多施設間試験が行われた。

 主要評価項目は臨床的奏効率(cOR)、副次評価項目には乳房および腋窩リンパ節における病理学的完全奏効率、レトロゾールとラパチニブによる安全性の証明などが主な項目として上げられた。併用群はレトロゾール2.5mgとラパチニブ1500mg、対照群にはレトロゾール2.5mgとプラセボが連日6カ月間投与された。6カ月まで投与を行ったあと手術を行った。現在までに14例が3カ月の投与を終え、4例が6カ月の投与を受け手術を受けた。
 試験では、心臓疾患の評価としてLVEF(左心室駆出分画率)が正常な患者が選ばれ、12週後から治療終了後までLVEFの測定が行われた。

 超音波による抗腫瘍効果の測定の結果では、部分奏効(PR)は3カ月めで30%、6カ月目で80%、SDは3か月で70%、6か月で20%だった。

 一方、心不全の発現はみられず、重要なLVEFの減少も見られなかった。その他の毒性に関しては問題となるケースはみられず、ホルモン療法とラパチニブ併用による新たな治療の可能性が示された。