直腸癌の手術後は、排便機能障害が起こりやすい。この障害の程度は、開腹手術であっても腹腔鏡手術であっても、同程度であることがわかった。杏林大学消化器一般外科の松岡弘芳氏が11月20日、第20回日本内視鏡外科学会総会で発表した。

 対象は、腹腔鏡下直腸前方切除術を行った19人と、開腹下に同手術を行った56人。手術時間は、腹腔鏡手術260分、開腹手術180分で腹腔鏡手術が長く、出血量は腹腔鏡手術90mL、開腹手術250mLと、開腹手術の方が多かった。排便機能は、術前、および術後6カ月、術後12カ月で評価した。患者に尋ねる質問票では、排便機能障害の定義を、1日4回以上の排便、1回の排便時間が15分以上、15分以内の繰り返し排便、という3つのいずれかがみられた場合とした。

 毎日の排便回数は、手術前にはいずれも1回程度だったが、術後6カ月では腹腔鏡手術5回、開腹手術5回へと変化、術後12カ月では腹腔鏡手術4回、開腹手術3回となり、術式による差はみられなかった。排便機能障害を訴えた患者は、術後6カ月では腹腔鏡手術6人、開腹手術11人、術後12カ月では腹腔鏡手術4人、開腹手術6人で、やや開腹手術を受けた患者で多い傾向がみられた。

 直腸肛門内圧検査では、安静時肛門括約筋内圧および収縮時肛門括約筋内圧を調べたが、腹腔鏡手術と開腹手術で明らかな差はなく、術後6カ月でやや低下した機能が、12カ月後には軽快するという傾向も同じだった。松岡氏は、「この結果を、排便機能は手術後に回復していくものだと患者に理解してもらう際に利用することを考えている。今後、直腸癌の部位および進行度別に違いがあるかどうか検討したい」とした。