上皮細胞成長因子受容体(EGFR)変異をもたない肺腺癌患者では、テガフール・ウラシル配合剤(UFT)による術後補助療法が生存期間を延長することが確認され、EGFR変異の有無がUFTの術後補助療法を行うかどうかの指標になりうることがわかった。この成果は岡山大学大学院腫瘍・胸部外科の末久弘氏ら研究グループによるもので、第48回日本肺癌学会総会で発表された。

 1994年から2003年に切除された病理病期1から3Aの肺腺癌で、手術のみの患者および術後補助療法としてUFT投与を受けた患者187人を対象に、EGFR エクソン19変異と21変異を調べたところ、EGFR 変異は187人中79人(42%)に見られた。EGFR 変異の有無で、生存期間を比較した結果、有意差はないものの、EGFR 変異のあった患者のほうが予後はよいことが確認された(p=0.092)。

 またEGFR 野生型患者の中では、UFT投与群(43人)のほうが、術後は経過観察のみの群(65人)に比べて有意に生存期間は延長し(p=0.039)、5年生存率はUFT投与群が81.0%、経過観察群が65.4%だった。多変量解析の結果でも、UFTによる術後補助療法で有意な延長が確認された。一方、EGFR 変異のあった患者では、UFT投与群(25人)と経過観察群(54人)で有意差は見られなかった(p=0.60)。

 これらの結果から、末久氏は、手術の後、補助療法を行う場合、EGFR変異を調べ、EGFR変異が認められればEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療を、EGFR野生型であれば、UFTによる治療を行うことができるのではないかと話した。