5-FU系抗癌剤のS-1とシスプラチンに胸部放射線を同時照射する治療法が局所進行非小細胞肺癌に有効である可能性が明らかとなった。11月8日から9日に名古屋市で開催された日本肺癌学会で2つの研究グループによって臨床試験の結果が発表された。

 局所進行非小細胞肺癌には化学療法と放射線療法を同時に併用する化学放射線療法が期待され、いろいろな化学療法剤の組み合わせが試されている。シスプラチンと第3世代の化学療法剤の併用は急性期毒性のため標準量の投与が困難とされている。一方、S-1は5-FUのプロドラッグのテガフールと5-FU分解阻害剤のギメラシル、消化器毒性の軽減作用を持つオテラシルを配合した製剤。進行非小細胞肺癌に高い効果を示し、毒性も軽いとされている。また、in vitroの実験で放射線療法との併用で増感効果が出ることが示されており、放射線療法との併用で標準量が投与できることが期待されている。

 癌研究会有明病院の大柳文義氏は、切除不能の3Aまたは3B期の非小細胞肺癌で全身状態の良い20歳以上75歳未満の患者を対象に行なったフェーズII試験の中間報告を行なった。化学療法は、S-1を1日あたり80mg/m2を1日目から14日目まで投与し、シスプラチンは60mg/m2を1日目に投与するスケジュールを4週間毎に4コース繰り返した。胸部放射線照射は2日目から開始し、6週間で60Gy(30fr)行なった。症例数は全部で28例で年齢中央値が63歳(40-74)。3A期の患者が11例、3B期の患者が17例だった。

 その結果、部分寛解(PR)が26例、安定状態(SD)が1例、評価不能が1例で、奏効率は92.8%(95%信頼区間 79.1-98.7)となった。毒性はグレード3以上の主な血液毒性が好中球減少(25.8%)、非血液毒性が食欲不振(14.4%)、感染(14.4%)、放射線食道炎(10.8%)で、認容できる範囲だった。現在、目標症例数を50例まで追加し、試験を継続している。

 一方、独立行政法人国立病院機構山陽病院、岡山肺癌治療研究会の岸野大蔵氏は、年齢75歳以下の切除不能かつ根治的胸部照射不能の3A期または3B期の全身状態の良い非小細胞肺癌患者を対象に行なったフェーズI試験の結果を発表した。

 S-1は1日目から14日目までと29日目から42日目まで連日投与した。シスプラチンは1日目、8日目、29日目、36日目に投与した。胸部照射は1日2Gyで全体で60Gy行なった。S-1の量は60mg/m2/日から80mg/m2/日まで、シスプラチンの量は30mg/m2から50mg/m2まで変えて組み合わせ、5つの投与量レベルを設定した。

 患者の症例数は22例で、年齢中央値は66歳(52-75)、3A期が6人で3B期が16人だった。試験の結果、S-1が80mg/m2/日、シスプラチン50mg/m2のレベル5で6例中4例で用量制限毒性が認められたため、最大耐量となり、S-1が80mg/m2/日、シスプラチン40mg/m2のレベル4が推奨用量となった。抗腫瘍効果はPRが19例、SDが3例で奏効率は86.3%だった。無増悪生存期間中央値は8.3カ月(95%信頼区間 5.4-11.1)だった。現在推奨用量でフェーズII試験を進めているという。