経口5-FU系抗癌剤のS-1が高齢者の進行非小細胞肺癌に対して有望な治療薬となる可能性が、医師主導で行なわれたフェーズI/II臨床試験の結果明らかとなった。成果は11月8日から9日に名古屋市で開催されている日本肺癌学会で三豊総合病院呼吸器科で、香川呼吸器TGO研究会の南木伸基氏によって発表された。

 S-1は5-FUのプロドラッグのテガフールと5-FU分解阻害剤のギメラシル、消化器毒性の軽減作用を持つオテラシルを配合した製剤。

 臨床試験には、組織診または細胞診によって非小細胞肺癌と確定診断がされた3期または4期の75歳以上の根治的治療の適応がない患者が参加した。S-1を1日2回14日間連続して投与しその後1週間休薬するスケジュールで行なわれ、これを1コースとして2コース以上実施された。フェーズII臨床試験の部分では、増悪(PD)になるか、副作用で投与できなくなるまで投与を継続した。

 フェーズI試験は、レベル1としてS-1を1日当たり65mg/m2投与する群(3例)、レベル2としてS-1を1日当たり80mg/m2投与する群(3例)に分けて行なわれた。その結果、両群とも用量制限毒性は現れず、S-1の標準量であるレベル2がフェーズII臨床試験の量として選択された。フェーズI、II合わせて15人の患者が試験に参加し、年齢の平均は81.5歳(77-88)で、3A期の患者が2人、3B期の患者が1人、4期の患者が12人だった。

 2コース終了時の抗腫瘍効果は部分寛解(PR)が2人、安定状態(SD)が10人、増悪(PD)が2人だった。2人は投与期間が2コースに到達せず判定不能だった。奏効率は15.4%で、PRとSDを合わせた疾患制御率は92.3%に上った。生存期間中央値は286日だった。平均投与期間は5.3コースで最長が17コース継続中(PR症例)で、最短が1コースだった。

 有害事象による投与中止は3件で、食欲不振、患者希望(食欲不振)、グレード2の血小板減少が1件ずつだった。