進行非小細胞肺癌における化学療法では、カルボプラチンとパクリタキセルの併用が6割強と多いことが、日本肺癌学会会員へのアンケート調査の結果でわかった。また2004年に実施された同様のアンケート結果と比較すると、ファーストライン治療としてゲムシタビンを用いた併用療法が増えている傾向も明らかになった。広島赤十字・原爆病院呼吸器科の大橋信之氏らが、第48回日本肺癌学会総会で発表した。

 研究グループは2004年3月に進行非小細胞肺癌に対するプラチナ製剤の使用に関するアンケート調査を実施。その後、国内で行われたFACS試験で、シスプラチンとイリノテカン、シスプラチンとゲムシタビン、シスプラチンとビノレルビン、カルボプラチンとパクリタキセルの4群比較により、奏効率も生存期間中央値も有意差はないことが示された。では実地医療で選択する化学療法は変わったのか――。2006年10月に、前回アンケート用紙を送付した日本肺癌学会会員に再度アンケートを送った。アンケート回収率は47.4%、回答者は癌診療経験年数16年以上が6割を占めた。

 調査の結果、プラチナ製剤を使う場合、カルボプラチンを主に使うと答えた人が70.0%と多く、2004年調査とほぼ同じ結果となった。カルボプラチンを選択した理由は、「低毒性・QOL」との回答が86.6%、「投与簡便で外来が可能」が91.9%と多かった。一方、シスプラチンを用いる理由としては「抗腫瘍効果」が62.7%、「EBMがある」が68.9%であり、「毒性の差はない」とする意見は3.8%と少なかった。

 ファーストライン治療として最も多く使用するレジメンを尋ねた結果では、カルボプラチンとパクリタキセルが61.4%と最も多く、シスプラチンとゲムシタビンが9.4%、カルボプラチンとゲムシタビンが5.4%と続いた。2004年調査では最多は今回と同様でカルボプラチンとパクリタキセル(55.4%)だが、2位はカルボプラチンとドセタキセル(6.5%)、3位がシスプラチンとゲムシタビン(6.3%)であり、この2年間でゲムシタビンを使用するレジメンが増えていることがわかる。

 セカンドライン治療では、ドセタキセル単独が最多で、2004年調査の29.6%から2006年調査では40.0%に増加、逆にゲムシタビン単独やゲフィチニブ単独の割合は減少する傾向にあった。だがゲムシタビンとビノレルビン併用が16.5%から17.9%に増え、カルボプラチンとパクリタキセルや、カルボプラチンとゲムシタビンなど併用療法を選択する割合が増加していた。

 高齢者の進行非小細胞肺癌に対しても、ファーストライン治療としてプラチナ製剤が有効であるとの意見が8割を超え、カルボプラチンを選択する人が95.4%に及んだ。レジメンとしては、カルボプラチンとパクリタキセル(50.2%)が最も多く、続いてビノレルビン単独(9.7%)、カルボプラチンとゲムシタビンの併用(9.7%)となっていた。

 これらの結果から研究グループは、「FACS試験やメタアナリシスの結果よりも、QOLを重視する姿勢や、化学療法が外来へシフトしている医療情勢の変化が影響している」と考察した。