癌性腹膜炎などでみられる難治性腹水に対し、腹水中の癌細胞や細菌などの細胞成分を除去し、自己たんぱく質を濃縮・再利用する腹水ろ過濃縮再静注法システムの利用が有用であることがわかった。防府消化器病センター防府胃腸病院外科の松崎圭祐氏が、第15回日本消化器関連学会週間で発表した。

 難治性腹水では、腹部膨満感や呼吸困難が生じる。利尿剤や腹腔ドレナージの効果は一過性であることが多く、シャント(短絡路)により腹水を血管内に戻す方法も、急激な循環血液量の増加を伴う上に、腹水中の癌細胞などが静脈内に流入する危険性が指摘されている。そこで、松崎氏らは、細胞成分を除去できる腹水ろ過濃縮再静注法システムに注目した。同システムでは、たんぱく質濃度や静注量を自由に調節できる。

 胃癌11人、肝細胞癌6人、胆嚢癌3人、大腸癌3人など、さまざまながん患者30人を対象に、計111回同静注法を行った。腹水は1回につき2000〜6000mL採取し、約10分の1量に濃縮して、点滴静注した。その結果、全例で腹部膨満感の軽減もしくは消失を認め、多くの症例で呼吸困難の軽減や食欲の改善につながった。

 ろ過濃縮した腹水を点滴した際に、高頻度に軽度の発熱がみられたが、ショックなどの重篤な副作用はみられなかった。松崎氏は、「この方法は簡便で安全性が高く、全身状態の改善がみられた患者もいた。血液製剤の使用量を減らせるなど、ほかにも多くのメリットがあり、積極的に試みるべき方法と考えられた」とまとめた。