食道癌に化学放射線療法を行った場合、30〜40%に局所遺残再発が起こるとされている。こうした局所遺残再発にEMR(内視鏡的粘膜切除術)を行うことで、完全切除ができなかった場合でも長期生存が得られたと、慶應義塾大学外科の平岩訓彦氏が神戸市で開催されている第15回日本消化器関連学会週間で発表した。

 局所遺残再発には外科手術が選択されることもあるが、重篤な合併症が起こる可能性が高く、患者にかかる負担も大きい。そこで、平岩氏らは、リンパ節転移および他臓器転移が無く、粘膜下層への浸潤が軽度と推測される症例17人に、EMRを施行した。対象は全員男性で、平均年齢は66歳。化学放射線療法後は、食道の粘膜に肥厚や線維化がみられることが多く、切除できない場合には適宜焼灼術を追加した。

 切除成績は、完全切除5人、非完全切除12人だったが、術後合併症は食道の狭窄1人のみだった。治療後、平均4年7カ月の追跡の結果、無再発が5人(生存4人、他病死1人)、再発が12人で、この12人はいずれも再度EMRもしくは焼灼術を行い、生存している。

 平岩氏は、「適応患者を慎重に選ぶ必要はあるが、EMRは外科手術よりも患者への負担が軽く、術後合併症も少なかった。6人(35.3%)が5年以上の長期生存中で、有用性は高いと考えられる」とした。