慢性骨髄性白血病に対してイマチニブは高い効果を示すことが明らかとなっているが、一方でイマチニブ抵抗性、不耐容の患者がいることが問題となっている。この問題に対処できる新薬の開発が精力的に進められていることが明らかとなった。10月11日から13日に横浜市で開催された第69回日本血液学会・第49回日本臨床血液学会合同総会で行なわれた自治医科大学内科学講座血液学部門の永井正氏の教育講演「慢性骨髄性白血病に対する分子標的治療の動向」の中で同氏が示したもの。

 イマチニブがCMLに高い効果を持つことは、国際多施設共同試験であるIRIS試験で明らかにされている。同氏は講演の中で、日本におけるJALSG CML202試験でも同様に高い効果が確認されていることを紹介した。

 そしてイマチニブ療法のポイントとして、早期に良好な治療効果を得ること、治療不応例、耐性獲得例への対策をあげた。早期に良好な治療効果を得るためには、開始時より高用量のイマチニブ投与をする考え方と、標準量で開始し、治療反応に応じて増量する考え方(昨年示されたEuropian LeukemiaNet専門委員会の治療指針ではこちらの考え方を採用)があることを示した。

 治療不応例、耐性獲得例への対策としては、イマチニブの増量、第二世代BCR/ABL阻害薬への変更、造血幹細胞移植などがあることを同氏は示した。変異の種類によっては、増量で抑制できるものがあり、イマチニブ療法(標準量)抵抗性に対する増量効果が報告されている例を紹介した。

 次に多数の新たなBCR/ABL阻害薬の開発が進んでいることを指摘した。まずニロチニブを例に挙げ、同剤がBCR/ABLへの選択性がより増しており、多くのBCR/ABL変異体に対して阻害活性を示し、海外のフェーズII臨床試験で血液学的完全寛解が75.7%で得られ、細胞遺伝学的大寛解が55.6%、細胞遺伝学的完全寛解が40%に得られたことを紹介した。

 次に活性型BCR/ABLに結合し、多くのBCR/ABL変異体に対して阻害活性を持つダサチニブを紹介した。ダサチニブは国内のフェーズI/II試験で、慢性期CMLに対する血液学的完全寛解が90%となるなど高い効果が得られていることも指摘した。

 ニロチニブの試験とダサチニブの試験では、不耐容、抵抗性の定義が一致していないため、単純に数字の比較は意味がないが、有望な2剤の実用化が近づいているようだ。両剤ともわが国で既に申請されている。

 永井氏はATP結合型BCR/ABL阻害剤の課題として、ニロチニブ、ダサチニブともにT315Iと呼ばれる変異体には阻害効果を示せず、耐性出現の可能性があることを指摘した。T315I変異体に対する新規治療薬として、T315I変異体に結合できるオーロラキナーゼ阻害剤であるMK0457があり、日本も含めた国際的な臨床試験が始められていることも明らかにした。さらに、臨床試験前のものでON013480と呼ばれる化合物があることを紹介した。

 永井氏はCMLで治癒を得るためには、CML幹細胞を根絶する必要があることを指摘、BCR/ABL阻害剤とワクチン療法、RNA医薬など異なったコンセプトの治療薬を組み合わせることが選択の1つになるとした。