英GlaxoSmithKline社(GSK社)と米Synta Pharmaceuticals社は、2007年10月10日、Synta社の癌治療薬候補STA-4783の共同開発と商業化を目的とする国際的な協力契約の実行を発表した。STA-4783は注射型低分子薬で、酸化ストレス誘導作用を持つ。転移性メラノーマを対象とするフェーズIII試験が開始目前となっている。

 STA-4783をパクリタキセルと併用したフェーズIIb試験では、パクリタクセル単独群に比べ、無増悪生存期間の倍加が見られた。GSK社は、フェーズIIbの結果を見て、転移性メラノーマ治療におけるこの製品の有用性を確信したという。

 契約に基づいて両社は、米国における開発と商業化の責任を共有する。米国外ではGSK社が独占的にこれを担当するという。

 酸化ストレス誘導は、新たな癌治療戦略として注目を集めている。正常な細胞は強力な抗酸化能力を持つため、酸化ストレスに対抗できる。しかし、癌細胞は常に強い酸化ストレス下にあるため、抗酸化能力は著しく低下している。ゆえに、外部からさらに強い酸化ストレスを加えると、細胞死(アポトーシス)が始まる。

 STA-4783を単剤で用いた種々の実験で、この分子が、癌細胞内の活性酸素種(ROS)レベルを急速に高めて、ミトコンドリア経路を介するアポトーシスを誘導すること、正常な細胞にはほとんど影響を与えないことが示された。また、多剤との併用では、ミトコンドリア経路に作用する他の抗癌剤、たとえば、パクリタキセルやドセタキセルの効果を増強することが明らかになっている。

 現在、他の適応症を対象とするフェーズII試験、他の抗癌剤と併用するフェーズII試験も計画されているという。STA-4783は、転移性メラノーマを対象に米食品医薬品局(FDA)からファストトラック指定を受けている。