進行性肝細胞癌の治療薬として5-FU系の経口抗癌剤S-1が有望である可能性が、わが国で行われた臨床試験の結果、明らかとなった。フェーズI/II臨床試験のうちのフェーズI試験の結果で、肝臓の機能不全はS-1とその代謝物の体内動態に影響せず、肝機能が悪い患者では慎重投与が必要だが、1日2回80mg/m2のS-1投与に患者は耐えることができ、一部の患者では腫瘍縮小効果が確認された。成果は9月23日から27日にスペインバロセロナで開催された欧州癌学会(ECCO)で、国立がんセンター東病院の古瀬純司氏によって発表された。

 S-1は、5-FUのプロドラッグであるテガフールと5-FU分解阻害剤のギメラシル、消化器毒性の軽減作用を持つオテラシルを配合した製剤。

 臨床試験の対象とされた患者は手術不能で、アブレーションや肝動脈塞栓術(TACE)による治癒不能
、肝機能の分類であるチャイルド・プー分類がAまたはBの患者。S-1の投与開始量(レベル1)は、標準量の80%にあたる64mg/m2の1日2回投与とし、42日間を1サイクルとして、1日目から28日目まで投与した。レベル2は80mg/m2の量を同様のスケジュールで投与した。

 全部で9人の患者が登録され、レベル1には3人、レベル2には6人が割り付けられた。3人は肝機能の状態が比較的悪いチャイルド・プー分類Bの患者だった。全身状態は良好だった。

 よく見られた副作用は血小板減少症、白血球減少症、食欲不振だった。グレード3を超える副作用はまれだった。レベル1では用量制限毒性は見られず、レベル2でチャイルド・プー分類Bの患者2人で用量制限毒性が確認された。1例がグレード3の食欲不振で、もう1例がグレード2の発疹で連続8日間以上の休薬が必要となった。PK値の変動は、チャイルド・プー分類の患者間で差はなく、また以前に行われた膵臓がん患者、胆道癌患者で見られた変動と同様だった。抗腫瘍効果では、レベル1で1人、レベル2で1人の患者で部分寛解が認められ、全体の奏効率は22%だった。

 現在フェーズII臨床試験の患者リクルートが終了しているという。