うまく行かなかった症例こそ大事に

 会の終了後、本誌記者に対して中西氏はこうコメントした。

中西氏は今年の第57回日本肺癌学会学術集会(12月19〜21日、福岡)の会長も務める。

 「このニボルマブという薬は、がん細胞が眠らせてきた免疫を目覚めさせてがんを抑えるがん治療の新たな方向を示している。しかし一方で、画期的な新薬であるために使用経験も限られており、予想しなかった副作用が今後出現する可能性は高い。副作用は多彩で診療科の枠を超えるが、薬剤を供給する製薬会社もまだデータを収集しながら供給を開始した段階。当面は設備やスタッフが比較的整っている大学病院などに使用施設が限定されるのもやむを得ないのではないか」。

 「しかも、個々の症例について厳密に検討していく必要がある。期待通りの治療効果を上げることは歓迎すべきことだが、より重要なのはは期待した成果を上げられなかった症例である。チームiCIではこうした苦労した症例を中心に検討し、なぜ上手くいかなかったのか理由を追求してく。さらにしっかり公表していくことが我々のような大学病院の義務だと考えている」。

 会合が終了しても、会議室の内外では、立ったまま話し込む血液内科や甲状腺内科、呼吸器内科の医師らの姿があちこちで見られた。3月に予定されている第2回委員会では、ニボルマブ使用のための院内クリニカルパスの作成と最近注目されている劇症1型糖尿病などが議題に上ることになっている。

表5● ニボルマブとはこんな薬(4)施設要件、医師要件の設定