米Pfizer社のCDK阻害薬が、進行乳がんで有望な成績 

 米Pfizer社が開発中の新規薬剤PD−0332911(PD−991)が進行乳がんを対象にしたアロマターゼ阻害薬(AI)と併用した第II相試験で、無増悪生存期間(PFS)を大幅に改善する結果を出した。PD−991は細胞周期を制御するサイクリン依存性リン酸化酵素(CDK)阻害薬である。同社は2013年にPD−991の無作為化比較試験(第III相)を開始する。米国University of CaliforniaのJonsson Comprehensive Cancer Centerの准教授Richard S.Finn氏が報告した。

 PD−991はCDK4と6に対する阻害効果を持つ経口薬。両酵素は細胞周期を回転させる上で必須の酵素で、DNAの複製と細胞分裂に関与している。試験管内の検討では、細胞のS期への移行を強く阻害することが確認された。

 今回報告された第II相試験は、閉経後局所進行転移性乳がんの患者でエストロゲン受容体陽性(ER+)/HER2陰性(HER2−)の患者165名を対象に実施された。標準治療では、これらの患者では内分泌療法が適応となり、抗HER2療法は適応とはならない。まず、AIのような内分泌療法を優先し、効かなくなると化学療法が行われる。

 患者をAIのレトロゾール単独群(L群)とレトロゾールとPD−991とを併用した群(L+PD−991群)の2つに分けて行われた。縮小効果の有無で評価する奏効率は、L群が31%に対してL+PD−991群では45%と有意に高かった。PFS中央値はL群の7.5カ月に対してL+PD−991群は26.1カ月と有意に改善した。HRは0.37と大幅な改善だった。

 ただし、これは規模が小さい第II相試験の結果。登録患者数を増やした第III相試験では全く異なった結果が出ることもあり得る。最終的な評価は、2013年に開始される第III相試験の結果が出るまでは定まらないだろう。また、PD−991が強力な細胞分裂の阻害剤であることから有害事象にも注意する必要がある。

 出現時に処方の見直しや入院をすることがあるGrade3/4の有害事象として、第II相試験では好中球減少症や白血球減少症が出現している。AIのような内分泌療法を抗がん剤の化学療法に優先して採用する理由の1つは、有害事象が低いと期待されるため。長期間の治療が一般的な乳がんでは、こうした有害事象のマネジメントはほかのがん以上に重要な意味を持つ。第III相試験では、生存期間の改善効果が第II相と同じように再現されるのかが焦点になるものの、加えて有害事象へのマネジメントができるかどうかも重要な課題となるはずだ。

 国立がん研究センター東病院の乳腺科・血液化学療法科医長の向井博文氏は、「エストロゲンのシグナル伝達の阻害に全く異なる作用機序を持つCDK4/6阻害薬を組み合わせることによって、大きな治療効果が認められたことは大いに注目してよい成果。日本国内でも第I相試験を実施しており、日本人における安全性を確認した上で、国際第III相試験に日本からも参加したい」と語っている。

 LEA試験 ベバシズマブにホルモン療法、増強効果認められず 

 血管新生阻害剤のベバシズマブにホルモン療法の効果を増強する作用があるかどうかを検証する第III相試験(LEA試験)の結果がドイツとスペインの施設で構成されるGEICAMグループのMartin M氏から報告された。同氏によると、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)を改善することができずネガティブ試験となった。

 ホルモン治療抵抗性となった患者の腫瘍組織では、血管内皮増殖因子(VEGF)の濃度が上昇していることが報告されており、抗VEGF抗体薬であるベバシズマブと併用することによって、ホルモン抵抗性の出現を遅らせることができるのではないかと期待されていた。

 同グループは、切除不能局所進行性乳がんまたは転移性乳がんのホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2−)の患者380名を無作為に2群に分け、1群にレトロゾールもしくはフルベスタント(ET群)、もう1群にはこれにベバシズマブを加える治療(ET+B群)を行った。その結果、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)中央値は、ET群の13.8カ月に対してET+B群は18.4カ月となったが、HR=0.83(95%CI;0.65−1.06、p=0.14)で有意差はなかった。副次評価項目となった全生存期間(OS)もET群とET+B群との間に差がつかなかった。試験の結果がネガティブであることが明らかになると、多くの聴衆が口演の終了を待たずに潮が引くように会場を後にした。