本学会会長のMichael P. Link氏(米Stanford大学医学部小児血液腫瘍学教授)。

 米国臨床腫瘍学会2012年次集会(ASCO2012)が6月1〜5日の日程で、Chicagoで開催された。本年のテーマは “Collaborating to Conquer Cancer”(がん克服へ向けての協調)。本学会会長のMichael P. Link氏(米Stanford大学医学部小児血液腫瘍学教授)は、特に小児がん領域での経験に基づき、がん研究・ケアにおける患者・家族を含めた協調の重要性を指摘した。本リポートでは、非小細胞肺がん(NSCLC)、大腸(結腸直腸)がん、胃がん領域でのトピックスを紹介する。


非小細胞肺がん(NSCLC)

afatinibの有効性を検証

 本年次集会で注目された臨床試験の1つが、LUX―Lung3試験。LUX―Lung3試験は、EGFR(上皮成長因子受容体)変異陽性Stage3B(wet)/4肺腺がんに対する新規の非可逆的ErbBファミリー阻害薬(EGFR=HER1、ErbB1、HER2=ErbB2、ErbB3=HER3、ErbB4=ER4を阻害)であるafatinib(アファチニブ)と、シスプラチン/ペネトレキセド併用群を比較対照とした初めての最大規模の前向き(プロスペクティブ)臨床試験。

 これまでに、EGFR変異陽性症例では、1st―line化学療法との比較で、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対し強い感受性を有し、無増悪生存期間(PFS)延長にベネフィットのあること。またLUX―Lung2試験で、afatinibはEGFR変異陽性肺腺がん患者に効果的であることが明らかになっている。しかし、進行肺腺がんに1st―line化学療法として効果および忍容性が高いシスプラチン/ペネトレキセド維持療法とEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の比較試験は行われていなかった。

無増悪生存期間を改善
 国立台湾大学医学部付属病院(台北)臨床腫瘍学教授のChih−Hsin Yang氏らが行ったLUX−Lung3試験では、欧州、北南米、アジア、オセアニアなど世界25カ国133施設が参加し、未治療でECOG PS0〜1のStage 3B/4のEGFR変異陽性肺腺がん患者345人を、afatinib投与(40mg/day)群230例、シスプラチン(75mg/m2)/ペネトレキセド(500mg/m2)併用投与群(21日毎、上限6サイクル)115例の2:1に無作為化し(EGFR変異状態、アジア人その他民族で層別化)、2009年8月〜2011年2月に実施した。

 2012年2月に1次分析データの封鎖を行ったところ、追跡中央値は16.4カ月で、221例において独立的に進行イベントのレビューを行った。主要評価項目はPFS、副次評価項目は全奏効率(ORR)、疾患コントロール率(DCR)、全生存期間(OS)、腫瘍縮小、QOL、安全性など。

 その結果、主要評価項目のPFS中央値では、afatinib投与群11.1カ月、シスプラチン/ペネトレキセド併用投与群6.9カ月と、有意差(p=0.0004)が認められた(図1)。一般的変異陽性(Del 19/L858R)患者を対象としたPFSサブグループ分析でも、afatinib投与群13.6カ月、シスプラチン/ペネトレキセド併用投与群6.9カ月(図2)と、有意差(p<0.0001)が認められた(図2)。