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ゾレドロン酸とデノスマブの使い分けを考える
 以上の考察から河野氏は、ゾレドロン酸とデノスマブとの使い分けを提案した。

 もしゾレドロン酸を使用している場合は、新たな骨関連イベント(SRE)が出現した場合、長期生存が期待できない場合、腎障害が出現した場合などはデノスマブに切り替える。それ以外はソロドロン酸を使い続ける。

 骨転移が起こっている場合は、やはり腎毒性の有無が決め手になる。また静脈投与が困難なケースやゾレドレロン酸使用中に多臓器不全を起こした場合はデノスマブに切り替えをはかるというものだ。

 「ゾレドロン酸には長期の使用経験がある。一方でデノスマブは異なった作用機序があり、ゾレドロン酸の欠点を補う方向で使い続けながら、使用経験を積むことによって現在よりも、より有効な使用方法が開発される可能性がある。両者の特徴を見ながら慎重に使い分けていく必要がある」と河野氏は語っている。

【宿題4】ホルモン受容体プロファイルは変化する?
―転移巣にrebiopsyは必要か?

愛知県がんセンター中央病院乳腺科の藤田祟史氏。

 ホルモン受容体やHER2は原発巣と転移巣では同じだろうか?転移したら生検を新たに行う必要はあるのだろうか?最近、乳がん診療の世界で注目されているrebiopsyの必要性を検討し、報告したのは愛知県がんセンター中央病院乳腺科の藤田祟史氏ら。検討の対象としたのは、同院で手術を施行し、再発部にrebiopsyを行った48例。このうち針生検を行ったのは20例で、残り28例は摘出生検だった。

 その結果、一致率はER93.8%(45例/48例)、PgR83.8%(40例/48例)、HER2は95.8%(46/48例)。ER、PgR、HER2の全てが一致したのは37例で全体の76.1%、どれか1つでも一致しなかった不一致例は11例で23.9%あった。この結果をどのようにみるかは見解が分かれるが、ホルモン受容体、HER2は原発巣でも転移巣でも大きくは変化していないとみることもできる。

 rebiopsy が注目されるようになったのは、2010年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で、原発巣と転移巣とではサブタイプが大きく変化する場合があるとの報告がなされてからだ。それ以降、同様な報告が2011のサンアントニオ乳がんシンポジウムや本年度のASCOなどでもなされている。

 しかし、藤田氏は今回の自身の検討を踏まえて「それほど大きく変わるという感触は得られていない。現時点では、rebiopsyを行った場合患者への負担などのデメリットも踏まえて、行う場合には症例を絞って行うべき」と語る。

 なぜ生検の結果が異なるのか。その理由を同氏は「3つの理由が考えられる」と指摘する。1つは乳がんの生物学的多様性が原因である場合。ホルモン受容体やHER2を持つ細胞と持たない細胞が不均一に乳がん組織を構成していた場合、複数回行った生検では異なった結果が出ることは理論的に生じ得る。次に技術上の理由。例えば、病理標本の作製や組織採取の方法が異なると偽陰性や偽陽性の原因になり得る。病理検査の手法の1つであるセルブロック法は、一般的にHER2が強く染色されることが多く、偽陽性の原因になる可能性があるとの報告もあり、愛知県がんセンター中央病院では現在施行されていない。