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SREを予防しても延命しないが
 デノスマブとゾレドロン酸の比較試験では、デノスマブは骨転移に伴う骨関連イベント(SRE)の頻度を低下させることが確認された。SREを減らすことは患者のQOLの維持につながる重要なテーマだが、一方で「SREを減らしても患者の生存期間を改善しなかった点にも注意をはらう必要がある」と河野氏は指摘する。

 StopeckがJCO(2010)に発表したゾレドロン酸vsデノスマブの比較第3相試験では、SREの発生率では差がついた(HR=0.82)が、生存期間には差がつかなかった(HR=0.95)。

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 この試験の結果の安全性を見ると、急性反応、腎毒性ではゾレドロン酸に頻度が高く、がっ骨壊死(OJT)の頻度は両者とも同じ、歯痛と低カルシウム血症の出現頻度では、デノスマブが高い。

 乳がんは骨転移を起こしても、長期間にわたって治療が続くことがあり、使用する薬剤の長期成績が重要になる。ゾレロドン酸には長期的な使用経験があるが、デノスマブには当然のことながらない。デノスマブの標的分子は骨だけではなくT細胞、B細胞などの免疫細胞にも存在することから、デノスマブの使用が、免疫に与える影響も懸念されており、米国食品医薬品局(FDA)も懸念しているとの情報がある。これらの点を考慮する必要があると河野氏はいう。

 こう考えるとゾレドロン酸の実績は大変、重要な意味を持っている。しかも研究が進展して使いやすさも良好だ。

 今年のASCO学術大会で報告されたZOOM試験はその典型だ。

 この試験では、ゾレドロン酸で1年間コントロールされた骨転移症例(進行4期)を2群に分け、ArmAにゾレドロン酸4mgq12wk、ArmBに4mgq4wkを投与し、1年間のSMR(年間SRE発症件数)の変化を比較したものだが、q12wkとq4wkで差がなかった。

 がんはまず骨に転移し、そこで休眠状態に入り、しばらくした後で活性化し、全身に転移することがあることが明らかになりつつある。ゾレドロン酸はこの骨髄中のがん細胞の数を減らす作用があるようだ。これが骨転移症例の延命効果(65歳以上に限る)があるという根拠になっている。こういう新しい知見が相次ぐことはゾレドロン酸の強み。「しかし、65歳以上に限定されて延命効果が見られるというのは今一つすっきりした話ではないので、なお研究が必要」と河野氏は指摘する。