国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏。

がんリスク低下作用をメタ解析
 メトホルミンのがん抑制効果が注目されたのは、同薬を服用していた糖尿病患者の中にがんに罹患する例が少ないという観察研究が発端だった。

 5月に横浜で開催された第55回日本糖尿病学会年次学術集会では、国立国際医療研究センター病院糖尿病・代謝・内分泌科医長の能登洋氏らが、メトホルミンと全がん及び個別のがん罹患、がん死亡に関する文献をレビューし、解析した結果を報告している。同氏は、「メトホルミンにがん予防効果がある可能性が観察研究や介入研究で示唆されているが、少数の観察例を対象とした報告も多く、バイアスも無視できない。そこで、精度が高い関連性評価を行う必要を感じた」と研究の目的を説明した。

 無作為比較試験(RCT)4件を含む24件の文献を解析したところ、メトホルミン服用者では結腸がん(リスク比0.68)、肝臓がん(同0.20)、肺がん(同0.67)と発がんリスクが有意に低いとの結論に達した(表1)。一方で、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、膀胱がんでは有意なリスク低下が認められなかった(Noto H,et al:PLos ONE 7(3):e3341)。今回の結果から、メトホルミンを服用している2型糖尿病患者では非服用者に比べ、全般にがんリスクが有意に低くなる傾向が認められた(図1、2)。