肺生検をせずに、HER2陽性腫瘍の診断が行える。(画像提供:国立がん研究センター中央病院)

 転移巣の早期検出への応用が期待できそうだ。がんの肺転移が確定していた患者に投与したところ、転移巣の位置にシグナルを認め、針生検と画像診断の結果が一致した(図1)。また、胸骨/縦隔リンパ節転移例では、治療によりがん組織が縮小する様子も追跡できた(図2)。さらに、非常に興味深いのは脳に転移したHER2陽性乳がんの組織が、今回の臨床試験で描出されたことだ(図3)。抗体分子は分子量が大きく、血液脳関門は通過しないと信じられてきた。そのためトラスツズマブの場合、「脳転移には効果が期待できない」とも指摘されてきたが、今回の結果は乳がん治療の分野で長く信じられてきたこの常識に一石を投じるものだ。

トラスツズマブ治療(トラスツズマブ6mg/kg3週毎、ビノレルビン25mg/m2毎週)による効果を64Cu−DOTA−Trastuzumab/PETを用いてモニタリングできた。(画像提供:国立がん研究センター中央病院)

大分子であるトラスツズマブは血液脳関門を通過しないとされているが脳転移巣特異的に強いシグナル(SUV=5.5)を認めた。(画像提供:国立がん研究センター中央病院)