伊藤氏ら昭和大学横浜市北部病院とシスメックス中央研究所のグループは、細胞分裂の指標である酵素テロメラーゼに特異的な組み換えウイルス(OBP−401、オンコリス・バイオファーマ)を用いて真に病的な意義のあるCTCを選択的に検出、予後との相関を検討した結果を前述の日本胃癌学会総会のワークショップで報告している。

 このOBP−401は、正常の血球細胞への感染性を低下させたアデノウイルスにヒトテロメラーゼのプロモーター遺伝子や緑色蛍光たんぱく質GFPの構造遺伝子などが導入された改変ウイルスを用いるシステム。このウイルスを体外培養で、分離したCTCに感染させる。感染したCTCのテロメラーゼ遺伝子が転写される条件下では、すなわち、CTCが生きていれば、ウイルスのGFPが転写、翻訳され、蛍光を発するというもの。

蛍光を発しているCTC(左)。右の同じ試料の光顕像と比べると周囲の細胞は蛍光を発していないことが分かる。

 昭和大学横浜市北部病院で、初発単発胃がん患者の術前に採血(7.5mL)し、その中から検出される生きたCTCの個数と全生存率(OS)、無病生存率(PFS)との相関を検討したところ、図1、図2のように検出される生きたCTCの個数が少ないほど、OSやPFSが良好である傾向が認められた。「この段階で、これほどに生存率に差が出るとは思わなかった。このようなCTCの意義が示唆された結果が出たことには、非常に勇気づけられた」と伊藤氏は語る。