シスプラチン+ゲムシタビンに勝利したが…
 脱線しすぎたので話をFirst SIGNAL試験に戻す。First SIGNAL試験は韓国人の非喫煙者を対象とした臨床試験で、シスプラチン+ゲムシタビン対“イレッサ”の比較試験でPFSを主要評価項目としている。結果は基本的にIPASS試験と同様で“イレッサ”の方が奏効率及びPFSが良好であった。

 全症例数が309例と少なかったため両群間の差はIPASS試験ほど大きくはなかった。特にEGFR変異のない群においても奏効率26%を示した点はIPASS試験と比べ異なっていた。用いたEGFR変異の検出方法が感度の低いdirect sequence法であったことが、その理由と推定される。

 この研究結果は2009年サンフランシスコで行われたWCLC会議でJ.S. Lee博士が発表したが、未だ論文化されていない。IPASS試験と全く同じコンセプトで行われた臨床試験ではあるが、スケール、タイミング等で完全に後塵を拝することになった点につき、韓国の研究者達にとっても臨床試験の分岐点に差しかかっているようにも思われる。

(4) NEJ(North East Japan Study Group,北東日本研究機構)試験とWJTOG(West Japan Thoracic Oncology Group,西日本胸部腫瘍臨床研究機構)試験
 わが国では、更にstraight forwardな患者選択を行った比較試験が2つの研究グループにより行われた。NEJ002及びWJTOG3405試験はいずれもEGFR変異(+)の患者を対象とした“イレッサ”対プラチナダブレット臨床試験で(NEJはカルボプラチン+パクリタキセル、WJTOGはシスプラチン+ドセタキセル)、2006年3月に開始され各々2009年5月及び6月に症例登録を終了した(図8)。

 NEJ002試験は、最初から進行肺がんのみを対象とした試験で、その結果は2009年米国フロリダ州オーランドで行われた米国臨床腫瘍学会(ASCO、5月29日〜6月2日)で発表された。ASCOでの発表内容は会議前の予測と反し両治療群間のPFSの比較成績結果まで含まれていた。もし、この抄録がLate Breaking Abstract(LBA)でPFSの結果を含んでいたら必ずやplenary sessionでの発表と思われる内容であった(図9)。