つまり、進行肺がんでは関係者が相当その気になって頑張っても、多くの患者から同意を得られたとしても、サンプルが得られないというわけだ。約1/3の患者のデータで全体についての議論をし得るか否かは重要なポイントかもしれないが、IPASS試験のデータはそのような批判をも十分かわせるクリアーカットなものであった。

 検査された検体全体の変異(+)率は約60%で様々な臨床的特性で差を認めていない(図4)。“イレッサ”の奏効率はEGFR変異(+)、陰性群でそれぞれ71.2%、及び1.1%、一方殺細胞性抗がん剤のそれはそれぞれ47.3%、及び23.5%であった。つまりEGFR変異(+)群では殺細胞性抗がん剤に対する奏効率も高いことが示された(図5)。またPFSもEGFR変異(+)群では明らかに“イレッサ”群が良好で陰性群では殺細胞性抗がん剤の方が良好であった(図6)。

 IPASS試験ではEGFR変異検出のため感度の高い遺伝子変異検出法であるScolpion-Arms法が採用された。この方法でEGFR変異群を検出し除外すれば陰性群に対し“イレッサ”は殆ど効かなくなることが明らかになった。すなわち“イレッサ”はEGFR変異(+)例にのみ効果を示すことが証明された。