我が国でも英国と同じレジメンのランダム化第2相試験が実施され、2010年のASCOで英国の第3相試験と同時に報告されている。その結果、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の生存期間はゲムシタビン単独療法に比べて、英国第3相試験では統計学的に有意に良好であり、日本のランダム化第2相試験でも同様に良好な傾向が認められた。これらの報告により進行胆道がんに対してはゲムシタビン+シスプラチン併用療法がグローバルスタンダードと考えられており、日本では2011年にシスプラチンの胆道がんに対する公知申請が認められ、保険適応となっている。

B. ゲムシタビン+シスプラチン併用療法
 ゲムシタビン+シスプラチン併用療法は、ゲムシタビン1000mg/m2、シスプラチン25mg/m2をday 1とday 8に投与し、これを3週毎に繰り返し、英国第3相試験では6カ月間、本邦ランダム化第2相試験では12カ月間、継続している。

 本邦試験におけるGrade 3以上の有害事象はゲムシタビン単独療法に比べて骨髄毒性の頻度が高率であったが、非血液学的毒性では差が少なく、また、シスプラチンに対する補液を行ったとしても外来通院治療は可能であり、比較的安全に実施可能と考えられている。

C.今後の進行胆道がんに対する治療開発の展望
 我が国ではTS-1が胆道がんに対して承認を得ており、第2相試験の結果ではTS-1単独療法でも比較的良好な成績が示されている。

 現在、TS-1単独療法とゲムシタビン+TS-1併用療法を比較するランダム化第2相試験が医師主導臨床試験(JCOG0805)として進められている。この試験の勝者とゲムシタビン+シスプラチン併用療法とを比較する第3相試験も計画されており、将来進行胆道がんの標準治療の一角にTS-1が位置付けられる可能性もある。

 分子標的治療薬のエルロチニブやセツキシマブなどのEGF(上皮成長因子受容体)阻害薬、ベバシズマブなどのVEGF(血管内皮増殖因子)阻害薬、vandetanibなどのEGFR/VEGFR阻害薬、selumetinibなどのMEK阻害薬などが検討されている。胆道がんにおいても第3相試験が実施可能な時代となり、この領域における新薬の開発は今後加速すると考えられている。

D. 切除可能例に対する補助化学療法
 補助化学療法も標準治療確立の気運が高まっており、臨床試験が開始されている。とくに本邦では患者数が多いことから、ゲムシタビンやTS-1を用いた臨床試験が複数行われており、また海外でもカペシタビンを用いた臨床試験などが進められている。

4.おわりに

 膵がん、胆道がんはこれまでに有効な化学療法がなく、患者の予後が極めて不良な疾患であった。しかしゲムシタビンの導入を契機にこの領域でも新薬の開発が積極的に進められるようになっている。

 とくに最近ではバイオマーカー解析を早期の臨床試験から導入し、開発の成功確率を高めようという試みも始まっており、今後の成果が非常に期待されている。また、新薬の導入とともに診断技術の向上も相まって、これらの患者の予後は最近かなり改善してきており、切除不能膵がん患者の平均的余命はゲムシタビン導入前にはおよそ4〜5カ月、最近では10〜12カ月といわれている。

 治療によって得られた時間を患者が十分に活用できるためには、適切な副作用管理や十分な情報の提供が必要であり、われわれ臨床医にはよりよい医療の提供とともに多角的な患者への支援が求められる時代を迎えているともいえる。